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「食っていいか?」

「…」

こくり、と頷いた汰絽に、軽く笑い、風太はポッキーの箱を開ける。
それからソファーに戻り、汰絽の隣に戻った。
中から袋を取り出し、封を切る。
風太は、ポッキーを一本取り出した。


「ほい。あーん」

風太に差し出されて、汰絽は思わず口を開く。
口の中に広がる甘い味に、ん、と声を漏らした。


「チョコ好き?」

「す、好きです」

風太の問いかけに断り、もう一本口の前にちらつかされて、口に含む。
かり、と音を立てて、味わった。


「うまい?」

「…? おいしい、ですよ?」

「ふーん。ほら、もう一本」

また、チョコのついたクッキーを振られる。
すっと前に出され、汰絽は口を開いた。
ポッキーを噛む前に、風太が反対側を口に含んだ。


「…んんっ!」

顔を離そうと頭を引こうとしたら、風太に頭を押さえつけられた。
髪の間に指をさしこまれ、優しく指先で撫でられる。


「ン…っ」

きゅっと目を瞑ると、ポッキーが噛まれる揺れが汰絽にも伝わった。
ポッキーはあと少し、先端についたチョコレートの部分だけ、汰絽に唇に残った。
唇の先から少しだけ残った部分を唇ごと食まれる。
すぐに離れて、舌先が唇を撫でた。
促されるまま、唇を開く。
残った部分は汰絽の口の中に入った。
そのポッキーのかけらを追いかけるように、風太の舌が入ってくる。


「ン、ン…」

風太の舌先は汰絽の口内に残ったチョコレートを舐める。
優しい舌先は徐々に熱いものに変わっていった。


「ん…はぁ」

「…ポッキーゲームしちゃったな」

「…」

恥ずかしそうに顔を真っ赤に染めた汰絽に風太は軽く笑う。
それから、唇の端についたチョコレートをなめとった。


「ま、ポッキーの日と言ったら、ポッキーゲームだしな」

風太が楽しそうにポッキーを口にしながら笑うのを見て、汰絽も小さく笑った。


end
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