お揃いでもいかがですか-4-

「これ、は?」

箱を開けて、汰絽の手の中にそれをおさめる。
冷たい感覚に、汰絽は風太を見た。
風太は見てみろ、と言うと、もう1つの箱を開けた。


「ブレスレット」

「あの、」

「ん?」

「あの、今日、何にもない日、ですよね…?」

「ああ。先週サイト見てたら、ペアもので、しかもたろに似合うだろうな、って思って」

ブレスレットのチェーンを外しながら、風太が話す。
手を取られ、ブレスレットが付けられた。
銀色の繊細な鎖に、タグが付いていて、タグを見ると、文字が入っている。
並んだ、FとTの文字、汰絽は風太を見た。


「…男同士だし、籍は入れられないだろう? せめて、指輪でもって思ったんだけど、まだ指につけてられないから、ブレスレットにした」

声を出せないでいるのか、汰絽はブレスレットを手でなぞり、頷いた。
それから、開けたもう1つの箱からブレスレットを取り出し、風太の手を取る。


「指輪は、もう少ししたら」

風太の言葉を聞きながら、汰絽はそっと自分よりも一回り大きい風太の手首にブレスレットをつけた。
きゅっと一瞬その手を握り、微笑む。


「ありがとう、ございます」

汰絽の嬉しそうな顔に、風太も笑い、手を離した。


また、次の年に。
今度は、永遠を誓う、お揃いを。


end
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