お揃いでもいかがですか

「たろ」

なんですか、と、答える前に、頬をなでられた。
温かな指先に目を細めると、風太は嬉しそうに笑う。
そのまま、目を瞑ってしまえば、優しいキスが降ってきた。


「どうしたんですか?」

「いんや、別に」

「変な風太さん」

ソファーに腰をおろし、洗濯物をたたむ。
隣に座った風太も同じように洗濯物を畳んでくれた。
山になった洗濯物がなんだか、気持ち良さそうで思わず微笑んだ。


「今日はむくはゆうちゃん宅にお泊りですね」

「そうだな。じゃあ、久しぶりに買い物でも行きますかね?」

「いいですね。どこ行きます?」

「市内の方行くか」

こくりと頷いた汰絽の頭を撫で、風太は山になった洗濯物を運んだ。
着替えは済ませている、後は携帯と財布を鞄に入れて、風太を待った。


いつの間にか買われていたバイク。
風太の背中にしがみついて、着いた先は、都市部。
ゆっくりと汰絽の歩幅に歩いてくれる風太に、少し嬉しくなる。


「デートみたいです」

「みたいじゃねえよ。デート」

「…っ」

「真っ赤になっちゃって。…あ、そこの店入るぞ」

指さされた先は、洋服店。
初めて入る、おしゃれなお店に汰絽は目を見開いた。


「こんなお店、初めてです」

「そうなんだ? 俺は結構ここで買うな。…汰絽も欲しいのがあったら言えよ」

そう言われてみたものの、初めてで、どう見ていいかわからない。
風太の後をひよこのように追いかけていたら、風太が肩を震わせて笑った。


「…ごめん、可愛くて」

「…嬉しくないですっ」

むっすとした様子に再度笑い、風太は自分が買おうと思った服を汰絽に渡した。
それから少しサイズの小さいものを手に取り、汰絽に手渡す。


「カーディガン?」

「そろそろ必要だろ?」

「そうですけど、でもこんな、あの、僕似合わないですよ」

「そんなことねえよ。薄いのなら汰絽に似合うだろ」

ううん、といった汰絽は考えているようで、風太は次の服を手に取った。
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