NGワード-3-

「たっだいまーっ。ふー楽しかった。あっ、たぁちゃん聞いてーっ、壱琉たらね、おっきい蟹買ってきて、おっきいチョコケーキも買ってきてくれたの!! あれ? たぁちゃん?」

帰ってきて、楽しげに汰絽に抱きついてきたむくは、テーブルに並んだ夕食に目を見開いた。
それから汰絽を見て、風太を見て、あー…と声をもらす。
汰絽と風太の関係を幼いながらに見抜いてしまっているむくは、こっそり溜息をつきつつ、テーブルに並んだ野菜達に笑った。


「今日は野菜ずくし…だね」

「ほら、風太さんももう20になるでしょ? そろそろ体のことも考えないといけないと思わない?」

「そ、そうだね」

「むくも野菜嫌い直すので丁度いいじゃん」

黙って食べている風太を一瞥し、むくは汰絽の隣に腰を下ろす。
それから、いただきます、と手を合わせた。


「お昼蟹だったの?」

「うん。壱琉、僕の好きなもの全部頼んでやるって言って、いっぱい頼んだの。そんな食べきれないよって、あとで送ってくれるって」

「蟹かあ、楽しみだね」

汰絽とむくが楽しげに笑う中、風太はどうしようかと内心頭を抱えていた。
昨日、風呂場で抜いてから色々考えた結果。
自分が発したあの太った? っていうデリカシーのない質問であることに気づいた。
そこまで太ってないし、ちょっとふにってしたかな…からの言葉だったが、汰絽は深刻に受け取ったようで、風太は心の中で謝る。


「夏休みだし、またお泊り行ってもいい?」

「うん、いいよ。いいですよね? 風太さん」

「あ、ああ。東条に意地悪されんなよ?」

大丈夫だよ、と笑うむくに、風太はさんきゅ、と小さく礼を告げた。
次こそ、挽回の場である。
テーブルに並んだサラダ、野菜スープ、サラダ、サラダにくらくらしながら、風太は次の2人きりのチャンスの作戦を立て始めた。


「…むく、ゴーヤーも食べなさい」

「うううー」

早めに解決するからな、と、風太はむくに目配せした。
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