たろとむくとよしくん

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たろとむくとよしくん



「たあ、」

むくの呼ぶ声に、洗濯物を取り込んでいた汰絽は振り返った。
振り返った先にはむくがほにゃほにゃと泣いている。


「むく、どうしたの? 泣かないで」

汰絽もつられてふにゃふにゃと泣き出しそうになり、鼻をぐずぐずとすすった。
ほにゃほにゃ泣いてるむくを、ふにゃふにゃ泣きそうな汰絽が抱き上げる。
丁度祖母が出かけていて、2人をどうにかできる人が不在。
そんな感じでほにゃほにゃふにゃふにゃしていたら、玄関の戸が開く音が聞こえた。


「お、おばあちゃーん」

祖母が帰ってきた、と思ってむくを抱えたまま玄関へ向かう。
けれどそこにいたのを汰絽とむくが求めた人じゃなかった。


「よ、ふにゃ、よしくん」

「ほにゃぁ」

「お、お、どうした、ふにゃほにゃふにゃほにゃ」

「むくが泣いちゃって、といれでもないし、お腹すいてるわけでもないの」

「お、おお、とりあえず、何か飲ませてやれば」

「…のどが渇いたのかな」

「そうなんじゃない? …俺ジャストタイミングだったな」

「ほにゃあ」

「え」

好野が来て落ち着いたのか、ふにゃふにゃ言っていた汰絽が先に落ち着いた。
それからほにゃほにゃ泣いてるむくに、ジュースを与える。
するとすぐにむくは泣きやんだ。
泣きやんだむくは好野に興味を示したのか、ほにゃほにゃと笑いだした。
好野はそんなむくを抱き上げる。


「おー、むくちゃん大きくなったなあ」

「親戚みたい」

「おうおう、こんな可愛い親戚がほしいね」

「むくはあげないよー」

「はいはい、あ、汰絽、休んでたぶんのノート持って来たよ」

「ありがと」

「いえいえ、こんな可愛いむくちゃんに会うためならなんともないよー、おーむくちゃんかわいいでしゅねー」

「ほにゃん」




「っは」

朝、好野は懐かしい夢で目を覚ました。
それはまだ汰絽の祖母が生きていて、むくがもっと小さかった頃。
むくが泣きやんで、ほにゃん、と声を出したあと、好野はひどい目に合った。
小さな指が、好野の目を狙って飛んで来たのだ。
好野はちょうどその目をつぶされる瞬間に目を覚ました。



「お、おおおお…目はまだつぶれていない…」


end
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