Trick or Treat

10月も末、日本にも浸透してきた行事が今日。
春野家もその行事を迎えていた。
むくの通う小学校では、ハロウィンイベントで、校内でお泊り会なんていうのを開いている。
もちろん、むくはそのお泊り会にるんるんとして出かけて行った。
そんな中、恋人2人が残った春野家では、盛大に…とまではいかないが、ハロウィンパーティーが開かれている。
そんなパーティーももうお開きか、杏と好野は鞄を抱えた。

「じゃあ、あとはお2人さん、楽しんでねーん」

なんて、ばちんとウィンクをかまして、マンションを後にした。
好野も汰絽にぶんぶんと手を振って上機嫌そうに帰っていく。
ドアを閉めて、鍵をかける。


「ふふ、楽しかったですね」

「おう。飯もうまかったし」

「カボチャ、いいのでしたから」

「お、なんだ? 謙虚だな」

風太がつい、と汰絽の顔を覗きこんだ。
そこには、ほんのりと頬を染めた汰絽がいる。
リビングに戻り、ソファーに座って、もう一度覗きこむ。
ほんのりと赤い顔は、恥ずかしげに視線をそらした。


「どうしたんだよ?」

「べ、別に、なんでもないです」

「ふうん…あ」

「?」

汰絽の顔を覗き込むのをやめて、風太はハロウィンムードなテレビを止めた。
ニヤニヤと悪い笑みを浮かべて、汰絽の頬を掴む。
それから…


「たろ、Trick or Treat」

「っ」

かああ…と、汰絽の顔が余計に赤くなった。
ハロウィンの名ゼリフごときでどうした、と、風太は汰絽の唇に軽く自分の唇を触れさせる。


「お菓子ないんだろ?」

「ふ、…意地悪、わかってるくせに…」

「お、可愛いねぇ。悪戯させていただきます」

「やーっ」

ソファーに2人で倒れ込んで、イチャイチャとする。
頬を染めている汰絽もまんざらでもないようで、風太はにやりと笑った。


「顔真っ赤にして…、杏に何言われたんだよ」

「…言わなきゃ駄目…?」

「ダメ」

「…Trick or Treatって言われたら、」

「言われたら?」

それを言ったきり、汰絽は口をもごもごとさせて風太の腕の下で体をよじる。
可愛い、とか、脳内でデレデレとしながら、風太は汰絽の言葉の先を促した。


「…夜、覚悟しなねって」

「…お前、それで、夜のこと想像したのか」

「っ〜…ッ!!」

「かわいいな、ほんと」

可愛い、可愛い、と何度も汰絽の告げ、風太は口付けを落とした。
それから白い肌に赤い跡を残し、汰絽の手を引き、ソファーに座りなおす。


「じゃあ、ベッド行きますか」

「…っ変態!!」



Trick or Treat
で、お菓子のようにドロドロな夜を。


end
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