先生?
道幸×有岬
とんとん、と背中を叩かれて振り返ると、眠たそうな有岬がいた。
深夜2時。
夜中、喉の渇きで目が覚めて、部屋を出ていた。
冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して、煽っていた時。
「有岬、どうした?」
“せんせい、どこいくの?”
眠たそうに動かされる唇を見て、どこにもいかない、と答える。
ふわふわの髪を撫でて、つむじに口付けると、きゅっと服を握りながら道幸の胸に頭を擦り寄せた。
「喉が渇いただけだから、安心して。有岬はどうした?」
“せんせい、どっかいくとおもった”
「そっか、起こしてごめんな。部屋戻るから、もう一度寝よう」
有岬の背中を押して、寝室に向かう。
もう一度眠ろう。
そういったのは良いが、目は冴えていた。
ベッドに戻ると、有岬は道幸の服を手放して、うとうとと夢の中に入り始めた。
道幸がいつまで経っても横にならないのが気になるのか、完全には眠りに入れない。
とろんとした瞳で見つめられて、軽く笑う。
「寝ていいよ」
“せんせいは?”
「俺は少し目が覚めたから、有岬が寝るまで見てる」
“やだ…な”
「いや?」
“はずかしい、です”
「そっか」
有岬の言葉に笑いながら、部屋の明かりを消す。
サイドテーブルの上の柔らかな明かりをつけた。
有岬の髪を撫でる。
少し癖のある髪を撫でていると、目をつぶっている時間のほうが長くなった。
「ほら、もうお休み」
“…、おや…すみ…なさ、”
唇がむにゃむにゃと動いて、有岬が眠りについた。
幸せそうな寝顔に、思わず笑ってしまう。
とりあえず横になろう。
そう思い、道幸もベッドに横になった。
end
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