甘い夏を過ごせ!-4-

「暗くなってきたね」

パラソルの下に戻ると、風太が砂のついたむくの顔を拭いた。
井上や時雨も恋人のもとへ行き、頬をぬぐったりする。


“道幸さん、隣座ってもいい?”

「どうぞ」

座る位置が変わり、井上の隣には有岬が腰をかけた。
隣に座った有岬は、きゅうっと井上の手を握る。
握られた手に微笑んで、井上は有岬の髪を梳いた。


“花火、そろそろ?”

「そうだな。先に発作止め吸っておこうか」

“うん、あ、ありがとう”

井上から発作止めを受け取った有岬は吸引してから、鞄の中から花火を取り出した。
ろうそくを立ててもらい、汰絽達を呼ぶ。
花火に気付いたむくが嬉しそうに笑った。





“みちゆきさんっ、綺麗、”

「ああ」

手に花火を持った有岬は嬉しそうに井上に笑いかける。
井上も片手に花火を持ち、有岬と笑った。


“周のも綺麗”

有岬の手に、先ほども持っていた花火と同じものを渡す。
夜月は椅子に腰をかけて、その様子を眺めていた。
むくは汰絽と風太の間に、時雨と椿は座って線香花火をしている。
色々な明りが輝いていた。





「有岬、楽しかった?」

“うん、道幸さんと海来れて楽しかった。周も、おにいちゃんも、みんなと一緒に遊べて”

「俺も、楽しかった。また今度、こういう機会を作ろうか」

こくりと頷いた有岬は、疲れたのか、こてん、と頭を預けてきた。
助手席に乗っている周も眠りについているのか、静かだ。
すぐに寝息が聞こえてきて、井上は笑う。


甘い夏が、きらきらと光る花火の中で輝いている。


end

後書
リクエスト内容
 ALLキャスト出演の暑くてあまーい夏休み満喫コラボ

ALLキャスト、難しかったです…っ。
本当に申し訳ない。メインカップルとむくと、先生と僕のメンバーで遊ばせていただきました。
また、夏休みはとっくに過ぎさ…って…。本当に申し訳ないです。
ですが、楽しく書かせていただきました。
有岬の甘えたさんなところや、のん兵衛な攻めな方達の一面など、見れたら嬉しいです。
tori様、リクエストありがとうございました。
先生と僕を最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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