その後のお話

完結記念リクエスト
亜祈様


「ただいま」

ぱたぱたとリビングから聞こえる足音に、井上は微笑んだ。
扉が開き、有岬が嬉しそうに駆け寄ってくる。
ぴょん、と跳ねて、飛びついてきた恋人を、井上は抱きしめた。


その後の話


付き合って、家を建てて、それから。
毎日を穏やかに、小さな幸福で満ちあふれた時間を過ごしている。
昔感じた疎外感を感じることもなく、新しい友人もできた。


「有岬、今日は何してた?」

“病院に行って、図書館で読書してました”

「病院、どうだった?」

“少しずつ、練習していこうって。ちゃんと治るみたいです”

夕食を食べながら、そんな会話を交わす。
有岬の言葉を聞いて、良かった、と嬉しそうに笑みを零した。
そんな井上に、有岬も笑みを零す。
食べ終えた井上は有岬の食器もキッチンへ運んだ。
お茶を飲んで息をついた有岬もキッチンへ来る。
食器を洗い始めた井上の隣に立ち、洗い終えた食器を拭いた。


「有岬、これ終わったらドライブ行こっか」

“ドライブ?”

「ああ。どう?」

“行きたいですっ”

「よし、じゃあ、終わったらあったい格好しておいで。最近寒いからな」

“はいっ”

るんるんとした様子で皿を拭く有岬に、微笑む。
拭き終わった際には、跳ねてしまいそうなくらいだ。
そんな有岬を抱きしめる。


「嬉しそうで俺も嬉しいけど、皿を置いて。ほら、あったかい格好しておいで」

有岬の手から皿を取り、温かい格好をしてくるように促す。
たったと寝室へ向かう有岬の背中を眺めた。

くい、と腕を引かれ、準備ができたことを知らされた。
井上は有岬の発作止めと、ブランケットを持つ。
行こうか、と微笑みかけると、こくりと大きな返事が返ってきた。


「鍵締めるから、先に車乗ってて」

頷いた有岬が先に車のほうへ行く。
井上も鍵を締めてから有岬の元へ行った。
車に乗った有岬は井上から渡されていたブランケットをかけて待っている。
さっと車に乗り込んで、井上は有岬の頭を撫でた。


「良い子だ。温かくしてるな」

こくりと頷いた有岬と笑いあい、車を出した。
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