Remember-6-
「楽しかった?」
こくりと頷いた有岬は、ベッドに乗せられたクッションに埋まっていた。
ふかふかで心地よいのか、有岬はうとうととしている。
井上はそんな有岬に笑い、クッションをのけ、有岬の隣に腰をかけた。
「カフェの時はハラハラしたな。…っていうよりその前からだけど」
“どうして?”
「みんなが有岬を見ていたからだよ」
“そんなことない。道幸さんの方が…格好よくって”
「…有岬はわかってない」
井上は真剣な顔で有岬を見る。
そんな井上を見て、有岬はこてんと首をかしげた。
「朝からずっと、俺は有岬に向けられる視線が気になってしょうがなかった」
“…でも、”
「俺の腕の中に入れて、誰にも見られないようにしようと思ったくらいだよ」
そう言って笑う井上に、有岬はかあ、と顔を真っ赤にした。
井上の言葉に心臓は大きく動き、有岬は小さくなる。
可愛いな、と、呟いた井上は有岬を、風呂に入ろう、と抱き上げた。
ちゃぽん、と水音が立ち、有岬は後ろに感じる井上の体温と、お湯の温度に頬を染める。
井上はふうー、と長く息を吐き、有岬を後ろから抱きしめた。
「有岬、ドキドキしてるな」
こく、と1つ頷く。
可愛らしい有岬に笑い、それから首筋に口付けた。
猫足バスタブから出た2人は、服を着て風呂場を出る。
そのままじゃれるようにキスをしながら、ベッドに倒れこむ。
ぼすん、と大きな音がして、井上は軽く笑った。
“道幸さん、”
自分の下にいる有岬が柔らかい表情で笑う。
「ん? どうした?」
“僕ね、先生が格好よすぎて、僕じゃ釣り合わないかも、って思った”
「そんなことない」
“でも、先生が僕のこと愛してくれてるってわかったの。自身がついたよ”
「…そう、よかった。有岬、この先もずっと…、じいさんになっても、死ぬまでずっと、傍にいてくれるか?」
こくりと頷いた有岬は、自分の上で嬉しそうに笑った井上に口付けた。
徐々に深くなっていく口付けに2人は互いの体を抱きしめあう。
「有岬、大好きだよ」
“僕も、大好きです。ずっと…”
窓から見える城がスポットライトに輝いていて、忘れられそうにもない、と井上は軽く笑った。
ずっとこの思い出と、過去の思い出を抱いて、2人は夜に身を委ねていった。
end
後書
リクエスト内容
大人になって思いでの遊園地へ行って
有岬が綺麗すぎて回りから注目の的で気が気じゃない先生と
先生がかっこよすぎて自信の持てない有岬で最終的には甘々な話
思い出の遊園地でお泊りデートにしてみました。
お互いがお互いのことをすきすぎて、
らぶらぶな感じになりましたが、どうでしょうか。
今回遊園地のアトラクションを考えるのが難しかったです。
2人は、お泊りの翌日に前回来た時に乗った乗り物に乗って、お土産を買って帰ります。
翌年から、冬と夏のどちらかに通いそうですね。
真咲様、リクエストありがとうございました。
先生と僕を最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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