甘くて、甘くて

完結記念リクエスト
はれ様より


甘くて、甘くて

朝、キッチンに行くと、真っ黒になったトーストとにらめっこしている有岬の姿が目に入った。
その困ったような表情が可愛らしくて仕方がない。
真っ黒になったトーストに少しだけ感謝した。
後ろからそっと近づいて、ぎゅっと抱きしめる。


「おはよう」

少しでも有岬の煩わしさが消えるように、と覚えた読唇術で返事を読み取った。
困ったような表情は、どことなく悲しい表情に変わる。


“ごめんなさい”

「真っ黒になっちゃったのか。大丈夫。パンはあるし、もう一度、一緒にやろうな」

“一緒に?”

「一緒にな。一緒にやれば有岬だって覚えるさ」

“じゃあ、もうちょっと一緒に朝食作ってください”

「あぁ。それに、朝一緒に作ってれば、一緒にいる時間も増えるしな」

ぎゅっと抱きしめて、微笑めば有岬の顔色も良くなる。
嬉しそうに笑った有岬にちゅっと額に口付けた。


「3分にセットして、うん」

“これでいい?”

「いいよ。じゃあ、次は目玉焼きな」

“うん”

温めたフライパンに油を敷く。
その上に卵を乗せた。
少ししてから、蓋をしめてもう少しね、と有岬に囁いた。




「よし、これで完成」

“綺麗”

「次からは俺は見てるから、有岬がやってみなね」

“うん。先生、ありがと”

ぽんぽんと有岬の頭をなでる。
嬉しそうに笑みを浮かべた有岬に、井上は微笑んだ。
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