優しい気持ち-2-

「うさ君、零してるぞ」

不意に風太に話しかけられ、有岬はハッとした。
紅茶を少し零してしまい、慌てて鞄からタオルを取りだす。
ぱっぱと拭いていると、汰絽が隣に座ってきて、服を拭いてくれた。


“ありがと、たぁ君”

「いいえ。どうしたの? ぼおっとしてたね」

“先生が何話してるのかなって、ちょっと気になって”

「そっか。戻ってきたら聞けばいいんじゃないかな」

“うん、そうする”

ふわっと微笑んだ有岬に、汰絽も笑みを零した。

そんなやり取りをしていたところ、井上と周がやってきた。
井上は有岬の右隣に、周は左隣に腰をかける。
間に挟まれた有岬はお帰り、と2人に手を動かした。


“何を話していたの?”

「さっき?」

こくりと頷いた有岬に、井上はああ、と苦笑した。
それから借りてきた本を取り出して有岬に手渡す。


“おうちで作る手作り家具?”

「うん。ほら、家、家具少ないだろ。それで、買うよりはいいかなって」

“道幸さんが作るの?”

「そうしようと思ってる。さっき話してたのは、どこにその本があるかって聞いてたんだ」

“な、なんだぁ…。道幸さん、深刻そうな顔してるから、また周と喧嘩してるのかと”

有岬が言うのを見て、井上は再度苦笑した。
それから心配掛けてごめんね、と有岬の頭を撫でる。
隣に座った周は椿の作ったクッキーを食べて褒めていた。

ほっとした様子の有岬を見て、椿や汰絽が微笑ましげに笑う。
風太と時雨もその意味を理解したのか、ああ、と同じように笑った。


「うさ君、心配ないと思うぞ」

有岬もようやく自分の気持ちに気づいたのか、恥ずかしそうに顔を真っ赤に染めた。


(やきもち、)


井上も有岬がやきもちを焼いていたことに気づき、思わず微笑んだ。
それから有岬の頭を撫で、そっと髪に口付けた。

再度、顔を赤くした有岬に、5人が大きく笑い声をあげた。


「可愛いね」

汰絽と椿がそういうのを聞いて、余計に笑いが広がった。


end

後書
リクエスト内容
 汰絽くんや椿くんたちも出てきて、みんなでワイワイ

コラボ2作目すね。
有岬は月夜椿メンバーにもほわほわメンバーにも愛されているイメージです。
井上と周談笑してるさいも真顔でいそうですね。
書いていてとても楽しかったです。
リクエストありがとうございました。
最後まで先生と僕をご覧いただき、ありがとうございました。
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