ふんわりとした-6-
「有岬君楽しかったかい?」
一番後ろに座る時雨に問いかけられ、有岬は盛大に頷いた。
時雨の隣に座った椿は時雨の膝を借りて眠っている。
有岬の隣に座る井上もどこか眠たそうで、何回かあくびをしていた。
「それは良かった。また今度、一緒に出かけようね」
もう一度頷いて、笑う。
嬉しそうな有岬に、井上が笑うのが見えた。
きゅっと手を握られて、有岬は小さく微笑む。
大きな手を握り返してから、有岬は窓に視線を移した。
「風太君、ちょっとそこのコンビニよって」
「はい。汰絽、トイレ行きたかったよな」
「あ、コンビニ?」
「ああ」
風太が車を止め、うとうととしていた汰絽を起こす。
トイレ行ってきな、と促すと、ついてきてくれ、と頼まれる。
汰絽に付き添いながら、後ろを見ると、後の4人もぞろぞろと降りてきた。
うん、と伸びをしていると、後部から井上と有岬が降りてきた。
それから時雨と椿が降りてきて、コンビニに入っていく。
“せんせ”
「…ん? 久しぶりだな、その呼び方」
“あ…”
「どうした?」
“ううん。あのね、今日、とても楽しかった”
「うん。俺も楽しかったよ」
“あの、また今度…”
有岬がそう唇を動かしたのを見て、井上は微笑んだ。
また今度ね、と呟くと、有岬が満面の笑みを浮かべた。
コンビニの電気の下、軽くキスを送る。
「有岬が沖田や夜月さん以外の人と居る見るの新鮮だな」
“周以外に友達できたの初めてだから”
「そっか。良かったな」
“うん。道幸さんも良かった?”
「ああ。良かったよ。時雨に久しぶりに会えたしな」
井上が旧友との再会を懐かしむのを見て、有岬は微笑む。
空を見上げると、満月が浮かんでいた。
「あー、なんか今日は、ふんわりとした1日だったな」
井上の言葉に、有岬はこくりと頷いた。
ふんわりとした2人の友人に出会えた、ふんわりとした1日だった。
満月と、星明かりを見ながら、有岬は笑みを浮かべた。
end
後書
リクエスト内容
月夜椿とほわほわとコラボしたお話(甘々)
リクエストありがとうございました。
コラボ楽しかったです。
椿と汰絽の仲良しコンビに、有岬も交わらせていただきました。
あの町は、どうにも美形が多いようですね(笑
成長した6人の話しになりました。
椿や有岬が20歳になっているということは、井上や時雨は30代ということでして…(笑
時雨は全く老いを知らなそうですね。
と、楽しく書かせていただきました。
今後は、井上も有岬達の仲のよさにもやもやしなければなりません。
楽しいリクエストありがとうございました。
先生と僕を最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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