ふんわりとした-5-
海から戻ってきた有岬達は、どこか嬉しそうな表情をしていた。
仲良く手を繋いでいる。
「慣れるのに時間がかかりそうだな」
と、井上が苦笑いするのを見て、両隣から笑い声があがる。
「有岬、かぼちゃ食べる?」
こくりと頷いた有岬の皿にかぼちゃを乗せる。
椿は時雨の隣で時雨のコップにビールを注いでいた。
汰絽は風太の隣で肉を乗せたり、野菜を乗せたりしている。
「汰絽君は手際が良いね」
「家事歴長いので。あ、井上さんお皿1枚良いですか?」
「あ、はい、どうぞ」
テキパキとこなす汰絽を見て、有岬が目を輝かせてる。
そんな有岬に笑いながら、井上は皿にのっている肉を口に運んだ。
「有岬、おいしい?」
“おいしい。バーベキュー初めてだから、楽しい”
「そっか。良かったな。あ、少し焼けたね」
“ちょっとだけひりひりする”
「うちに帰ったら、シャワー浴びて冷やそうか」
こくりと頷いた有岬の頭を撫で、井上は皿を下ろした。
食べ終わった皿を集めている汰絽と椿に皿を渡す。
空が暗くなり始めてきたのを見て、井上は時雨とともにパラソルを片付け始めた。
「うさ君、楽しいか?」
コンロの火を消している風太に話しかけられ有岬は頷いた。
それからぺこりと頭を下げる。
ボードに文字をかいても見辛いだろう、と思い、携帯に打ち込んだ。
“ありがとう。とっても楽しいです”
「良かった。これからも、色々遊んだりしような。汰絽も喜ぶだろうし」
“よろしくお願いします”
「堅くなくていいよ。…こちらこそ、よろしくな」
“ありがと。風太さん”
「気にすんなって。あ、うち後1人いてさ。今ちょうど7歳になるんだけど。今度はそいつも一緒にな」
風太がニカっと笑う。
有岬も思わず笑い、それからもう一度頭を下げた。
食べ終わり、椿と汰絽のもとへ皿を渡しに行く。
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