ふんわりとした-3-

「風太君、パラソル手伝うよ」

井上に手伝いを申し込まれ、風太は井上と2人、パラソルを2本立てた。
それから、テーブルを1台開き、その上に食材を置いた。
バーベキューもしよう、となり、買ってきた食材を置く。


「うさ、椿君達と遊んできていいからなー」

と、井上に声をかけられ、有岬は椿と汰絽の2人と海へ入りに行く。
水着は3人とも持ってきていなくて、ばしゃばしゃと足をつけて遊ぶだけになる。


「風太君いくつ?」

「22ですよ」

「若いねー」

「井上さんは時雨さんと同い年っすよね?」

「ん? そうだよー。高校が一緒でさ」

へえ、と風太が面白そうに返事をする。
時雨はバーベキューをするときのため、火をつけていた。


「最後に会ったのが、だいぶ前だから、お互い変わってるな。恋人もできたし」

井上が懐かしそうに話す。
そこに時雨が入ってきて、時雨は黒くなった鼻先を拭いていた。


「井上は風紀委員長で、俺が生徒会長だったんだよなー」

「んで、ロイが副会長しててな」

「秋雨さんは、俺達が1年の時会長してたよな」

「秋雨さんが?」

「そうだよ。井上はちゃらちゃらした秋雨に腹立って抗議しに行ったんだよ」

「お前も来ただろうが」

井上が恥ずかしそうに頭を掻くのを見て、風太は軽く笑う。
今は落ち着きのある2人にも、高校時代はあったんだな、と、考えながら、パラソルの下に腰を下ろした。
海では汰絽が有岬達と遊んでいる。


「そういえば、有岬君と付き合ったのはいつ頃?」

「ん? あー。結構最近だよ。出会ったのはだいぶ前だけど」

「へえ」

「有岬が高校入学して、1年の夏に出会って。その頃から可愛かったなぁ」

井上と時雨も風太の隣に座って、タバコに火をつける。
時雨は禁煙中なのか、井上をチラリと見てから、飲み物を取り出した。
風太も井上から火をもらい、タバコを吸いはじめる。


「それから色々あってさ、卒業から2年後だから、有岬が19歳の時に付き合い始めた」

「色々あったんだね」

「まあな。有岬から離れてるときはきつかったな」

「へえ。俺は椿と離れたことがないから、わからないな」

「だろうな」

井上が一息吐くように煙を吐き出す。
そんな様子を眺め、風太も同じように煙を吐き出した。
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