20150911 興元→ガラシャの元ネタ


16/5/3 がらしあ細川夫人のところ詳細編集しました

いつ頃からできたのか分からない興元→ガラシャのネタ。

『伽羅奢細川玉子夫人 : 貴理至端之精華』では「義姉ガラシャの感化を考えるが、どの文献を見ても、夫人が興元を教化して入信せしめたという記事は見当たらない」と、一番ありそうな線もないわって言い切ってるし、細川家の資料でも一切出てこないのに通説になりつつあるこのネタ。いったいいつどこから来たのやら…


時系列で興元・ガラシャに触れている小説・学術書・その他作品をまとめていきます〜分かり次第順序更新。



◆綿考輯録
「又大坂屋敷は七月十七日戌の刻はかりに火かかり、御庫中様御自害被成申けれハ、玄蕃殿(興元)を始め御前様御義心を感し、各落涙仕」

綿考輯録に載ってる間接的なガラシャと興元について。
7月27日に、細川軍が上美濃の方へ向かっていると、小出吉政から家康への使者が下馬。興元は吉政と仲が良く、使者もかねてから知っている者だったので口上を聞いてみたところガラシャ自害の報だったとのこと。
流れ的に興元が一番先に使者から聞いてびっくりして泣いたんかなーと。「御前様の義心に感じ入り」皆で泣いてるので別に思慕うんぬんではないような。


◆ミカエル・シュタイシェン『切支丹大名記』(1930/大岡山書店) 
忠興の弟でその重臣である興元は、義姉ガラシャの徳に動かされて婦人にさへあれほどの確固たる精神を吹き込むことのできるこの宗教を一身に研究しはじめた。


◆細川ガラシヤ夫人/森田草平(1956/理論社)
なにかと明智方へ肩入れする興元に対し、忠興は「あいつ(おたま)と頓五郎の考え方には、どこか似たところがある」「あいつら二人の間にはどこか共通の所がある。それは二人とも自分たちの利害を放れて、世上を見、物事を考えてるからに外ならない」と考えているとのこと。
またこれは梗概にちょろっと書いてあるんですが、興元が日向守に異常な好意を寄せたのは、おたまに気があるからだと推せざるを得なくて、そのため忠興はなるべくおたまを興元に近づけさせないようにする、という内容になる予定だったようです。興元本人がどう思ってたかはちょっと分からない。


◆キリシタン文化研究会『キリシタン研究』第4輯 (1957/洋々社) 興元の章
彼がキリシタンの信仰を受け容れるに至ったのは、ガラシャ夫人が直接勧めたことではないように思われる。(略)そうは言うものの、ガラシャ夫人が間接に興元に感化を及ぼしたという事については、殆んど何の疑いも存じない。


◆山田野理夫 児童書『ガラシヤ夫人 美しい殉教の人 (1959/岩崎書店)
なんか普通によくできた弟…?てかんじ。単純にキリスト教への興味がわいてたところに義姉がキリシタンだってこと分かったので「一緒に信仰がんばりましょう!」みたいな感じで元気づけてます。


◆がらしぁ・細川夫人 : 文学座公演(1959)/田中澄江
パンフレットしか見てないので実際の劇がどうだったか分からないのですが、パンフレットに「兄嫁に秘かな思慕」という旨が書いてあったのでそういう要素あったんだろうなーと。あと赤鉛筆で興元役の横に「ズングリ」って書いてありました。なんなんめっちゃきになる
どうやら『田中澄江戯曲全集』によると、本能寺の変を真っ先に玉に知らせたのが興元で、幽斎はじめ細川家が明智と道を違えることを決めた時に出奔します。また味土野に身を潜める玉に対し光秀の訃報を伝え、生害するようすすめています。

◆宮島真一『伽羅奢細川玉子夫人 貴理至端之精華』(1965/中央出版社)
「興元が受洗するに至った動機については、だれしも、義姉ガラシャのどの文献を見ても、夫人が興元を教化して入信せしめたという記事は見当たらない」


◆ドラマ『大坂城の女』(1970)
これも未視聴なのですがなんか右近と忠興が一触即発だったり輝元がガラシャに一目ぼれしてたりすごい話だな…??ガラシャの回で興元が忠興ディスりながらガラシャ介錯したっていうストーリーらしいです。これも思慕云々と関係あったりするのかな


◆三浦綾子『細川ガラシャ夫人』(1975/主婦の友社)
ガラシャの本で一番読まれているであろう本。初対面でガラシャをガン見している。生まれたばかりの忠隆に「十月もあの姉の胎内にいたのか」とかいう思いを抱いててちょっとあぶない。


◆若城 希伊子『ガラシャにつづく人々』(1978/女子パウロ会)
とりあえずめっちゃ好き好きアピールしててちょっと怖い。キリスト教の入信も出奔もとりあえずガラシャが理由。「嫂たま子は興元にとって兄との縁をつなぐ心の絆であった。」と、忠興との関係をガラシャを慕うことでごまかしていたという設定のようです。


◆宮木あや子『ガラシャ』(2010/新潮社)
ひっそり慕っているかんじでガラシャがピンチになるとすぐにどこからともなく出てくる。正直めっちゃイケメンセコムすぎて誰これ???ってなりました。



やっぱり
・興元と正室の間になかなか子が生まれなかった
・興秋を養子にもらっている
・ガラシャと同じキリシタン
という三点がそういう性格づけ生んじゃうんでしょうかね〜…







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