かっ、買っちゃった買っちゃった買っちゃったああっ!!!!!ついにわたしも雑誌デビュー!!!今まで生きてきた年齢=雑誌買ってない歴だからね!!!表紙のモデルさんちょー可愛いっ!!!しかも全体的に細いっ!!!羨ましいわっ!この薄ピンクのふんわりしたワンピースだって可愛いし、いいなあ…。腰のあたりできゅって細くなって、そこからこんどは少しふんわりして膝上5cmぐらいまであって、おまけに裾のところは白いレースが付いて、女の子らしさが増して見える!レースがあるのとないのとじゃあ全然違って見えるんだね!いいないいなあ、わたしもこういう服着たいなあ…。

「剣城!この服どう思う?」
「どうって…女じゃねえんだから知るかよ」
「じゃあ、わたしが着るとどう、かな…?」
「…別に」

冷たいなあ。すぐそっぽ向いちゃった。てか、あの一瞬の間はなんだったの?あれは一瞬考えたって解釈していいの?で、考えたけどわたしじゃ似合わないからそっぽ向いちゃったの?そうなの?…やっぱりわたしが着たってなんともないんだ。こういうのはモデルさんとか美人さんが着るから似合うわけで、わたしが着たって似合わないし、万が一似合っていたとしても馬子にも衣装ってやつで、洋服に着られているような感じになるんだろうなあ。つまり、わたしが着たってちんちくりんに見えるだけ。剣城はこれを言わないようにとそっぽ向いたんだね。剣城のばーか、ばーかばーかばーか。

「…?はっ!?ちょっ、おまっ!なに泣いてんだよ!?」
「だっ、って!つ、つるぎっ、…があ!ちんちくり、ん、ってえ!」
「言ってねえよ!取り敢えず泣きやめ、な?」
「おっ、おうえっ」

変な泣き方したせいで鳩尾あたりから苦しい。ひくひくする。例えるならしゃっくり。泣くのを堪えようとするとよけいに変な嗚咽が出てくる。やだ、見られたくない。見られたくもないし聞かれたくもない。隣で必死に頭と背中を撫でてくれる剣城にアイマスクと耳栓してもらいたい。でもこの状況で言っても笑われるか呆れられるかぐらいだから言わない。あと、嗚咽のせいできちんとした言葉が話せないと思う。

「ったく、…急に泣くからびっくりした」
「だって剣城が、」
「言ってねえって!」

あーくそっ!ガシガシと乱暴に頭を掻くと、下を向いてしまった。どうしたのかと思い顔を近づけるともごもごとなにか言おうとしてるのが聞こえた。

「…剣城?」
「っ!!だからっ!!想像したら案外可愛くて返事に困ったんだよっ!!!」

勢いよく顔をあげた剣城は今までで見たこともないぐらい真っ赤で、なんだかこっちまで恥ずかしくなって剣城がいる方とは逆の方を向いた。そのとたん、さっき剣城の口からはっきりと出た言葉が脳内で再生を始めた。うああ、恥ずかしいっ!

「…こっ、こんど!」
「…?」
「かっ、…買い物、行くぞ…」

語尾は弱々しかったけど、これもはっきり聞こえた。一緒に買い物…ってことは、

「剣城とデー「ばっ!!口に出して言うなっ!!!」

りんごみたくほっぺが真っ赤になった剣城が可愛くて思わず口元が緩んだ。そうしたら、にやにやするなと怒られた。そんな真っ赤な顔で言われても怖くないもーん!そういう意味を込めて手を握ったら、ぎゅうって抱きしめてくれた。髪の毛が顔にかかってくすぐったいと言えば、俺の火照りが冷めるまでは離れねえなんて言ったけど、ほんとはもう顔赤くなってないでしょ?素直じゃないなあ。そういうところも好きだからいいけどね。


120316
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