隣を見れば、積み上げられた何冊かの教材。その上には筆箱。そう、これらは夏休みの課題というやつらだ。ちなみに夏休みの始めに置いてから今現在まで触っていない。そしてその今現在の日付は8月22日。そろそろやらねばと思っているのだが自分の身体が言う事をきかない。やろうとすると部屋の掃除をしたくなってしまうのと同じで、自分の場合はマンガを読んでしまう。そうしてあっという間に一日が終わるという不思議体験をするのだ。そもそも夏休みという長期休業に課題を出す先生方が悪い。普通遊ぶための休みだろう。

「だるい」

このままやらずに学校を迎えようか。または頭のいいやつに写させてもらおうか。どっちにしろここまできたら自分ではやりたくない。怠惰だとか知ってる。

「あー夏休みまた最初からこい」
「よう、遊びにきたぜ!」
「黙れチューリップ」

あれ。今普通に会話したけど、なぜ赤チューリップがいる。まずどこから入った。音がなかったぞ、音が。まあ前まで宇宙人とか自分たちで言ってたぐらいだからな。音を消すぐらいどうってことないのだろう。いや、待てよ。気配もなかった。音も消せて気配も消せる、つまり、

「ジャパニーズ忍者だったのか」
「人の話聞いてたか?」
「取り敢えず君がジャパニーズ忍者だということまで聞いてたけど…」
「あー、全く聞いてないんだな」
「?」



数分後。最初から説明を聞かされた自分は夏のせいなのか少し意識が吹っ飛びかけた。おかしいな、クーラーつけてるはずなのに。

「えー、まとめると、チューリップって言ったことに文句をつけたあと、ここへ来た理由、課題を写させてもらうために来たという」
「そうそう」
「…馬鹿の考えることは一緒か」
「んだと?」
「残念だが自分も課題が終わっていないのだよ」

あー、なるほどな。と意味がわからない納得をされた。失礼なやつだ。自分はやる時はやるのさ。ただ今回はそのやる気とやる時を見失っただけなんだよ。……多分。

「アンタも終わってなきゃ俺はどうすればいいんだよ」
「涼野に写させてもらうとか」
「さっき行ったら、残しておく貴様が悪い!自分でやれ!って追い返された」
「じゃあ基山」
「あいつは論外」
「自分も基山だけは勘弁」

基山なんかに写させてもらったら何を見返りに求めてくるかわかんないからな。

「じゃあもう二人で学校迎えようよ」
「おっ、いいなそれ」
「潔いな」
「まあな!」

よし、これで思う存分遊べるぞ!二人だから先生方なんて怖くない!あと残りの夏休みは何をしよう。海とかプールに行きたいな。あと遠出したい。赤チューリップも誘ってあげよう、一緒に学校を迎える仲だ、仲良くいこう。あ、カッコイイ事思いついた。

「諦めが肝心な時もある」
「早い諦めだけどな」


110822

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テーマ「人外ファンタジー」
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