「何してるの?」
「……………。」

彼女は一瞬だけこちらを向いたが返事はしなかった。その代わり、大きな目でギロリと睨んできた。

「俺はなにもしてないんだけどな。」
「……………。」
「ふふ、どうして睨むの?」
「………気に入らない。」

え?聞き返せば、アンタが気に入らないの。と言われた。面白い子だ。

「俺のどこが気に入らないのかな?」
「全部。」
「へえ、全部か。」
「……………。」

用がないならどこかに行って。今度は顔も合わせなかった。冷たいな。俺はこんなにも優しく接しているのに。

「…そういえば、俺の最初の質問には答えてないよね?」
「……………。」
「何してるの?」
「……別に。」
「何してるの?」
「…………美術部の課題をやっているの。」
「君、美術部だったんだね。どうりで絵が上手いと思ったよ。」
「もういいでしょ、気が散るから早く行って。」

彼女は本当に俺の事が気に入らないようだ。足が揺れている、つまり貧乏揺すり状態。これ以上彼女を怒らせると大変そうだ。

「わかったよ、じゃあまた来るから。」
「はあ?もう来ないでよ。言ったでしょ、あたし、アンタが気に入らないって。」
「ああ、言ったね。」
「ならもう来ないで。」
「でも君は俺のお気に入りだから、無理かな。」
「なっ!」
「じゃあね。」

あっ!ちょっ、ちょっと待ちなさいよっ!後ろで色々言っているけど、何も聞こえないフリをしておく。彼女みたいな子は接し方を変えればデレがくる。押してダメなら引いてみろ。柳に後でお礼を言っておこう。


110328

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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