あ、彼だ。また目をキョロキョロさせてる。面白いなあ。あ、食われそう。ほら、そこにいるじゃないか。すぐ隣に、って、見えないんだっけ。仕方ない。

「!?君は…」
「お前ら邪魔だ、失せな」
「なんだこの人の子、俺らに偉そうな口ききやがって」
「人の子がワシらに勝てるとでも思っとるのか?」
「命知らずだな!」

と、ゲラゲラと汚く笑ったこいつら。

「お前らこそ命知らずだな」
「なにっ!?」
「彼、お寺の子なんだ」
「!そ、それがどうしたって、いうんだ!」
「清められるぞ、お前ら」
「こっ、こんな弱そうなやつが、で、できるわけがなかろう…!」
「たとえ出来なくても、私が封印の1つや2つ、出来るから問題はない」
「っ!!!にっ、逃げるぞっ!!!」

さすが。逃げるの速いな。でも、あの顔はないな。一人だったら今頃大笑いだ。そんな事を考えていたら、肩を軽く叩かれた。背高くていいな。

「君、もしかして、見えてた…?」
「ああ、ばっちり」
「どんなやつらだった?」
「気持ち悪い顔したやつらだった」
「そ、そうか…」

少し顔を俯かせた彼は、私の返事に期待でもしていたのだろうか。だが、嘘ではない。本当に気持ち悪いやつらだった。

「まあ、妖怪なんてそんなもんだろ」
「たしかに」

心の中で言ったつもりが、いつの間にか口から滑り出ていた。怪しまれていないか不安になり、彼を見れば、笑顔だった。これは怪しまれていないって事だよな?

「俺は見えないけど、なんとなくいるっていう感じしかわからないんだ」
「気配、か…」
「けど、友達で見えるやつがいるんだ」
「知ってる、夏目貴志だろ?」
「え?」
「で、あんたは田沼要」
「な!どうしてわかるんだ?うちの学校の生徒か?」

表情ではよくわからないが、かなり驚いているのがわかる。ほんと、面白いなあ。だからいつ見ても飽きないんだ。

「…名前は?」
「内緒」
「名前ぐらいいいだろ」
「これがまたダメなんだな」
「は?」
「あんたが呼んでるポン太にバレると面倒なのさ」
「君は一体…」
「あーそうそう、あいつら私の事を人の子って言ったけど、違うから」
「え?」
「じゃっ、また今度な」
「あっ、おい!待っ、……いない…」

捜してる捜してる。でも無駄な事だ。あんたは見えないんだから。さっき私が見えたのは、1日だけ人間になれる薬を飲んだから。昨日飲んでたから効果が切れたのさ。でも、もし本当に見えるようになったら、また話そうな。私はいつも傍にいるんだからさ。


110326
遅くなりましたああああっ!!片瀬さまへ捧げます!!お持ち帰り、苦情はご本人さまのみ受け付けております!!
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