「あ!涼野くん!」
「なんだ」
「今日、部活ないんだよね?」
「そうだが」
「…あ、あのね、話したい事があるから、いっ、一緒に帰らない…?」
「断る」
「え、…あっ、涼野くん!……はあ…」

ピシャリ、教室から出て行った彼は、何事もなかったかのように、廊下にいた二人の友人と歩いていった。彼は、私が好意を寄せている人である。友達は無愛想なやつ、冷たいやつだ、とか言うけどこの前、沢山のプリントを落とした時、彼は拾うのを手伝ってくれた。本当は凄く優しい人なのだ。おかげで更に好きになってしまったけど。

「あーあ、涼野くんと一緒に帰りたかったな…」

廊下の窓から、すっかり陽が傾いてしまった空を見る。彼に話したかった事とは、私の勇気を全部振り絞って言う言葉、つまり告白。私なんかが告白しても受け入れてもらえるなんて思ってない。だから、言いたかった。忘れるために。でも、今日言えないんじゃ、ずっと忘れられないかもしれない。こういう時、自分の性格を恨む。

「………?」

校門に涼野くんらしき人物が見えた。でも彼は友人と帰っていったからここにいるわけがない。あれか、彼の事を考えていたから幻覚でも見ているのか。困ったな。その人物に近くなるほど彼に見えてくる。

「っ、おいっ!」
「ふあっ!は、はいっ!……って涼野くん…!?なんで、ここに!?」

横を通り過ぎようとしたら、大きな声で言われて吃驚したため情けない声が出てしまった。しかも、その声の主を見たとたん、心臓の脈が加速。それに比例して、音まで大きくなった。

「きっ、貴様が話があるというから待っていたのだ」
「え、本当…?」
「なっ!かっ、勘違いをするなっ!南雲とヒロトに言われて待っていたわけで、私の意志で待っていたのではないっ!断じてっ!」
「わ、わかったから…」
「わっ、わかればいい」
「それでね、話って言うのは…」
「ばっ、馬鹿かっ!貴様は馬鹿なのかっ!」
「え?」
「こここっ、こんなところで話したら他のやつらに聞かれるだろうっ!」
「でも、もう学校には誰もいないと思うんだけど…」
「とっ、とにかくっ!こっ、こっちに来いっ!」
「わっ!」

右手首を掴まれて無理矢理走らされる。掴まれているところがやけに熱い。視線を彼に向けてみたら、後ろ姿でもはっきりわかるほど赤くなっていた。多分私も負けてはいないだろう。

それにしても、南雲とヒロトって人達は、いつまで笑い続けるのだろうか。


101031
遅くなりましたあああああっ!!
ひいいっ!これはツンデレか!?ってものになりましたっ!ごめんなさいっ!ご本人さまのみお持ち帰りと苦情どうぞっ!
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