「ま、まだダメか…?」
「うん、まだ。」

あれから彼女に毎日のようにアピールしているけど、なかなか振り向いてもらえない。手強い人を好きになってしまったみたいだ。今は放課後。外を見れば赤色とオレンジ色が混ざった色をしていて、部活動に入っている人達の声が聞こえる。ちなみにサッカー部は今日は休み。という事で彼女と帰る事になった。一緒にいる時間が長くなって、俺としては凄く嬉しい。そんな俺のこの気持ちは、彼女には届いていないだろう。

「はあ…恋愛って難しい…。」
「じゃあ恋なんてしなければよかったのに。」
「なっ!お前があんな色気出すからだろっ!」
「よくそんな恥ずかしい事言えたね。てか、色気なんて出ないし。」
「いいや、出てた!他の人より何倍も!」
「はいはい、恋は盲目って言いますからね。」
「あと、お前の周りに沢山花があった!」
「もう幻覚だろ、それ。」

はあ、と呆れたというように溜息を吐いた。幸せ逃げるぞ。と言えば、別にいいし。と返された。

「なら俺が吸うぞ?」
「どうぞ。そのかわり、不幸になるから。」
「そうしたら責任とってもらおうかな。」
「勝手に吸うのはおかんだから私悪くないし。その前にどう責任とれっていうのさ。」
「一緒に不幸になればいい。」
「は?どうやって?」
「こうやって、」

彼女の唇に自分のそれを軽く付けた。短いリップ音の後、ゆっくりそれを離せば顔を林檎以上に赤く染めた彼女がいた。

「顔、真っ赤。」
「うっ、煩いっ!そう言うおかんだってっ!」
「でもお前には負けるな。」
「う、うー…あーもうっ!帰るっ!」

乱暴に鞄を掴み、ドタドタと大きく足音を響かせて教室の後ろのドアへと向かう。これは嫌われたかもしれない。そう思った時、彼女が小さくこちらを向いた。

「どうした?またして欲しいのか?」
「ちっ、違うっ!そんなんじゃないっ!」
「じゃあなんだ?」
「もう知らないっ!置いていくからっ!」
「ごめんごめん、反応が可愛くてつい。」
「っ、」

一人で帰れ馬鹿っ!そう言って早歩きでどんどん前へ進んでいった。可愛いな。彼女はきっと、俗に言うツンデレなのだろう。ますます好きになった。それにしても、両想いになるのはまだずっと遠いと思っていたけど、案外そうでもないのかもしれない。なぜなら、からかったあの時の彼女の顔は満更でもない、というような顔だったから。

100824

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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