「っていう事があったんだ!」
「へえ。」

次の日。俺は昨日あった出来事を、学校に来てそうそう隣の席のやつに話した。案の定興味なさそうに聞いているが。まあ、予想はしていた事だしいいんだ、別に。それに今日の俺は凄く機嫌がいいから軽くスルー状態。つまり返事を返されてもあまり聞いてない。

「一目惚れなんて漫画の世界だけだと思ってたけど、現実にもあったんだな!」
「そうだねー。」
「また行きたいけど、一人で行くのはちょっと勇気がいるし…。」
「そうだねー。」
「それに、も、もし、ストーカーとかに思われたら俺…人生初の恋が終わる…!」
「…ふ、」
「ん?」
「ふ、は、はは!あははっ!ご、ごめんおかん、ごめっ、はははっ!」

突然笑い始めたこいつに、何か変な事を言ったかと思い、さっきまで話してた事を思い出す。確か、俺が一目惚れした、という事しか話していない。となると、原因はこれしかない。そんなに俺が一目惚れした事が可笑しいか。さすがにこれはスルー出来ない。

「お前な…人の恋を笑うなよ!」
「ちがっ、あはははははっ!」
「人の机を叩くな!」

ツボに入ったらしく俺の机を叩き始めた。自分の机が一番近いのになぜ俺の机を叩くんだ。

「…うえ、気持ち悪い…。」
「笑いすぎだ。」

数分後。笑いが止まったと思ったら、今度は机に突っ伏した。人の恋を笑うから罰が当たったんだな、とだけ言っておく。

「笑い死ぬかと思ったぜ。」
「こっちは言って損した。」
「あ、笑ったのはおかんの恋の事じゃないから。」
「じゃあなんだよ。」
「昨日ここら辺では見かけた事がない女の子が店にいた、って言ったな?」
「ああ、言ったな。」
「で、奥のドアを開けて行った、とも言ったな?」
「ああ…。」
「つまり、そいつはつい最近引っ越してきたんだよ、ここへな。」
「なんで分かるんだよ。」
「見かけない子だったんだろ?」
「そうだけど…。」
「はい、ここで問題。つい最近こっちに引っ越してきた人は誰でしょう。」
「え、そんな急に、」
「まだわかんない?」

目の前にいるんだけどな。そう言って、あのグルグル眼鏡を取って髪を手で梳かした。と同時に、一気に体の熱が上がって頬に熱が集まってきた。心臓も相手に聞こえるんじゃないかってぐらい煩く脈を打っている。昨日と同じだ、この感覚。

「昨日会ったのは私でした。」

100823

「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -