「あ、あの…!」
「ん?この前のマネージャーさんだ。確か、音無春奈。」
「は、はいっ!覚えててくれたんですかっ!?」
「うん。」
「かっ、感激ですっ!」

こいつを見たとたん、ぱあっと表情が明るくなり、元気になった音無。今の音無を見る限り、憧れているのだろうか。こんな女の子らしさの欠片もないやつに。この前はあったが。ほんの少しだけな。

「なんで半袖半ズボン…。」
「だってそんな遠出しないし。いいかなって。」

聞こえないよう小声で言ったつもりが聞こえてしまったらしい。

「…はあ。お前は女の子だろ?少しはお洒落に気を使えよ。ミニスカとか短パンとか七分丈のズボンとか穿いたりしてさ。その半袖だって子供っぽいデザインで今時の女の子って感じじゃない。せめて着るならもっと可愛いTシャツにしろよ。靴だって男の子が履くような靴じゃないか。サンダルとか女の子が履くような靴履けよ。」
「……風丸。」
「なんだ。」
「女の子?」
「は?」
「女の子みたいだと思ってたけど、思考は女の子だ。いや、女の子通り越しておかんだよ。うん、おかん。」

今日からおかんね。じゃ、帰ります。手をひらひらと振りながら来た道を戻って行く。また来て下さいねー!とあいつの背中に大声で言う音無。俺、そろそろ練習しないとな。てか、誰がおかんだ。

100822

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