雷門中のグラウンドが今日は使えないらしいから河川敷での練習となった。そばにあったベンチに座って支度をする。私服の下にはユニホームを着ているため脱ぐだけだ。私服を脱ぎ終えたところでスパイクに履き替える。そういえばここにくるのは久しぶりだな。

「あの、風丸先輩。」
「ん?なんだ、音無。」

少し控え目に俺に話し掛けてきたのは、うちのマネージャーの一年、音無だ。藍色の短い髪に赤い眼鏡が特徴だ。この眼鏡は近くのものを見る時に使うらしい。それにしても、いつもなら元気に話し掛けてくるはずなのに、どうしたんだろうか。

「その…あの人は来ないんですか?」
「あの人…?」
「この間、風丸先輩が連れて来た女の人です。」
「あ、ああ。あいつには言ってないから来ないぜ。」
「そ、そうですか…。」

残念。そんな顔をした後、俯いてしまった。なんか悪い事したな。こんな姿の音無を、鬼道が見たら俺は怒られるのだろうか。…有り得るな。しかし未だに鬼道と音無が兄妹だなんて信じられない。どこをどう見て兄妹だと言えるんだか。

「あ、風丸発見。」
「は?…んなっ!」

急に上から声がしたと思って、顔を上に向けると、見慣れたグルグル眼鏡を見つけた。

「お、お前っ…!」
「近くを散歩してたらサッカー部のキャプテンさんの声が聞こえたから寄ってみた。」

おー、やってるやってる。口では興味なさそうに言ってるが、実際は興味津々のようだ。足が俺達の方へ向かっているからな。それにサッカー好きだっていうし。てか、この前と反応が違いすぎる。…じゃなくて!

「お前その格好!」
「いつもだろ。」
「違う!服!」
「普段着だが。」

何かおかしいのか?とでも言いたげな顔をしている。おかしいも何も一応女子、だというのにお洒落センスが全く感じられない。なんだよ、半袖半ズボンって。どこのやんちゃ坊主だ。

100821
風丸は女の子、を時と場合によって言い換えます。今更すぎる。

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