転入してきた時よりは少し話すようになった。返ってくる言葉は短いのが多いけど。でも最初よりはマシになった方だ。ただ、

「お前ちゃんと前向けよ。首曲がるぞ。」
「はいはい。」

相変わらず窓の外を見てる。外を見て何がいいんだか。空はいつも通り雲が流れていてグラウンドでは他のクラスのやつらが体育の授業を受けている。ちなみに体育の授業はサッカーだ。そんな在り来たりな風景をいつも見て飽きないんだろうか。

「…そんなに外がいいのか?」
「違うよ。」
「だったら話す時ぐらいこっち向けよ。」
「無理。目を逸らしてくれないから。」
「は?」

誰が?そう言おうとしたけど止めた。大体察しはつく。このクラスの男子と女子だ。そんなに見られたくないなら最初からそんな格好しなければいいのに。

「皆お前のセンスが珍しいから見るんだよ。」
「…何か勘違いしてるね。」
「勘違い?」
「見てくるのは、」

そこまで言って黙ってしまった。ここから先の言葉は言いにくい事なのだろう。もしかしたら俺は、訊いてはいけない事を聞いてしまったのかも。今俺の想像している事が当たってるとしても、きっと俺には理解出来ない。そういう経験がないからだ。周りは休み時間で騒がしいというのに、ここにいると周りの声がやけに遠くに聞こえる。

100819
100820 追加

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