へにゃり。その子は俺の顔を見て、笑ったのか微笑んだのかよくわからない顔をした。俺と会ったことがあるのか、または友人帳目当てなのかわからない。
「おい夏目。あやつ、妖だ」
「あんなに人間らしいのに?」
「人間に化けられるほど、妖力が強いのだ」
経験しているだろうが!そういって怒られた。でも本当に人間に見間違えそうになるほど、人間らしい子。
「ねえ、」
「え?」
ぼーっとしていたらいつの間にか目の前にきていた。先生も気づいていなかったらしい。
「友人帳、持ってる?」
どくん。心臓が力強く鳴った。やっぱりこの子も友人帳目当てだったのか。
「悪いけど、友人帳は渡せない」
「それにこいつの死後、私が貰う約束だからな」
「そうなんだ、ごめん」
「……馬鹿ね」
クス、っと可愛らしい笑い声が聞こえた。何が可笑しいのだろうか。
「私は、持ってる?としか聞いてないわ。それにそこら辺の妖達と一緒にしないで」
友人帳なんて私は欲してないの。そう言葉を付け足して言った。じゃあ、この子は何が目的なんだろうか。
「目的なんてないわよ?」
「!?」
クスクス。驚いた俺をみてまた笑った。誰だって驚くわけだけど。
「私はただね、」
レイコの遺品を持っているか知りたかっただけなの
(私の大事な大事な友人のを)
(あなたに持っていてほしいから)
100214