夢でも、愛し君だけ (一土or土一)

土門、おい、土門ってば。
…しかたねーなぁ、もう。


――――夢でも、愛し君だけ


一之瀬の声が聞こえた気がした。

「ん…一之瀬…?」

目を開けると、一之瀬の呆れたような顔があった。

「風邪ひくよ。」
「先戻っててもよかったのに。」

お前をおいていくわけないだろ?
そういって、一之瀬は俺の頬をつつく。
かぁっと頬があつくなった。

「土門、顔赤いけど」

そういってクスクス笑う一之瀬。
腹立たしいけど、でも、…愛しい。
体を起こして、一之瀬を呼ぶ。

「一之瀬ぇー」
「ん?」
「…すげーすき」




――ばこんっっ

「っ!?」

急に頭に痛みが走った。
あれ、今俺一之瀬とはなしてたんじゃなかったっけ?
なんでまた寝転がってんの?
体を起こして一之瀬がいたはずの右側を見る。
…少し距離を置いて、一之瀬が座っていた。

「一之瀬?」
「…」
「ねぇってば」

ずい、と近寄ると、一之瀬もずい、と離れる。

「一之瀬?」
「…寝言」
「寝言?」

…いや、ちょっと思ったよ。
思ったけど、さっきのはやっぱり夢か。
え、寝言?ってことは…え、どの辺しゃべったの…俺…?
ちらりと振り返った一之瀬が、俺の顔を見て唇を噛む。

「顔赤い…土門なんの夢見てたの?」
「それは…」
「いえないの?なんで?…俺にいえないような夢なの?」
「や、その、そうじゃないんだ一之瀬、」

一之瀬がばっと立ち上がって俺から離れる。

「土門が、…好き、って言ってた。誰に言ってたの?」

背中を向けたまま、小さな声で言う一之瀬。
…へ?

「あの、一之瀬」
「土門は俺のだよね?それとも、ほかに好きな人が…?」

遮るように言う一之瀬。
何を言ってるのかはわからないが、ぶつぶつといろいろ言っているようだ。
うん。一之瀬くん。ちょっと話しきこうか。

「一之瀬」

後ろからそっと近づいて、逃げられないように腕の中に閉じこめる。

「嫉妬してんの?」
「っ!…誰がするか!」

素直じゃねーの。
すげーかわいいから、ちょっと意地悪して、秘密にしてやろう。
いつもしてやられるんだから、たまには優位に立ってみたいしな!

「一之瀬」
「なんだよ」
「絶対教えないから」
「…は!?」

あわてたように振り返る一之瀬、俺はその体を解放して笑う。
たまにはこんな風に慌ててる一之瀬も、いいかもしれない。


――END

土門、殴ってごめん、悪かったから教えてくれって!!
え、あれ一之瀬がやっぱり殴ったの!?もう絶対教えねー。

[mokuji]



「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -