寂しくないよ、(みやばき?)
寂しくないよ、
ほんと。
「椿、飯行く……んだよ、また携帯みてんの?」
「あ、ザキさん」
声をかけられて、慌てて携帯をしまう。
また、って言われるほどいつもだっけ?
そんなことはないと思うのだけど。
「ほら、飯行くぞ」
「ッス」
帰ってきて一息ついて、携帯を手に取る。
意識してみると、確かに携帯を手放せなくなっているかもしれない。
「なに、お前携帯依存症なの」
ってザキさんには言われたけど。
だって、いつメールが来るか、いつ電話が来るか、わからないから。
それは、つまり、……。
離れてみてはじめて気づいた。
あぁ、こんなに助けられていたんだ、って。
俺が依存しちゃってるのは携帯じゃなくて。
〜♪
!!
「も、もしもしっ、」
『はやっ!』
電話越しに聞こえる笑い声。
『もしかして椿、ずっと携帯もってた?』
なんて、そんなわけないか。
そういって笑う声に、思わず顔が緩む。
「そんなわけないって!」
『ほんとかー?』
「ほんと!」
ひとしきり笑って、それから、優しい声がした。
『椿、寂しくない?』
「、」
即答できなかった自分が悔しかったけど、俺は一息ついて答える。
「寂しくないよ」
『そう?よかった』
わかってるかもしれないけど、何も言わないでくれる優しさ。
だって、きっと言ったら我慢できなくなっちゃうから。
『あ、じゃあまたかけるな!お互い頑張ろうぜ』
「うん!じゃあ、おやすみ」
切った電話を胸に抱く。
ねえみやちゃん。
寂しくないよ、……嘘、本当は寂しい。
でも、俺、頑張るから。
胸張って帰れるように、頑張るから。
END
[mokuji]