夏祭りタツユリ的な。

『似合ってる』
それだけで良かったのに。
せっかくの浴衣、なのに。
一番言って欲しい人は、何も言ってくれない。
ちゃんと見てすらくれない。
なんとも思われてない、ってわかってるけど。
お祭りを歩くカップルを見て、あれが自分達だったらと妄想をして、……虚しくなる。
「何よ、別に悔しくなんかないんだから」
「なに一人で言ってんだ、有里」
「ひゃっ」
急に後ろから声をかけられて、ビクッと飛び上がってしまった。
「た、達海さん!!ビックリさせないでよもう!!」
「わりーわりー」
ほら、と飲み物を差し出されて反射的に受けとる。
「あ、ありがとう……」
「ん」
それから、無言が続いて。
……あーもう!なんかいいなさいよ!!
そう思ってちらっと達海さんを見上げたら。
「っ、」
一瞬視線があって、それからふいとそらされてしまった。
何よ、そんなあからさまに……なんだか、へこむ。
思わずため息を漏らすと、となりで達海さんがびくりとした気がした。
「有里?」
「……」
「あー、その、」
んー、と唸ったあと、頭をわしゃわしゃと撫でられた。
「な、なにっ」
「可愛い」
「っ、」
思いがけない言葉に体が固まって、それから顔が赤くなる。
なに、それ。
なにそれ、……っ。
「っ、もう!髪!ぐしゃぐしゃになるでしょ!?」
「は!?」
ぐいとその手を押し退けて、背を向けた。
わけわかんない。
かわいい、とか、……わけわかんない。
「素直じゃねーの」
「は!?」
「なんでもねーよ」
「ちょっと、どういうっ」
「あー、花火まだかなー」
「話そらさないで、っ」
振りかえってもう一度見上げた達海さんの頬は、なんだか少し赤いような気がして。
視線が絡んで、頬が、赤くなる。
「……」
「……」
「あの、」
「……なに、」
「……花火、楽しみ、だな」
「……うん」
なんとなく寄り添って、空を見上げた。
もう。
……嬉しかった、なんて絶対言わないんだから。






今週のモニ読んで有里ちゃんかわいーーーってなって衝動的にかきました。
いつのまにか少女漫画に……笑
ちょっと力尽きないで書けるようになりたいです。

[mokuji]



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