学パロみやばき(?)

「あつー……」
蒸し蒸しとした暑さに、下敷きをうちわにして首もとを扇ぐ。
弱々しい生暖かい風が顔を撫でて、全然涼しくない。
教室の窓から差し込む日差しがじりじりと暑くて、俺はずるずると机に突っ伏した。
「あーつー……」
「昼休みくらい席移動したらいいのに」
涼やかな声に顔をあげないまま目だけを前に向ければ、白い肌もまぶしい椿がいた。
「……おー」
「みやちゃん?」
「いっ!!?」
前の席に椅子に座った椿から目を離した瞬間、首筋に冷たいものを当てられてがばりと体を起こした。
「あは、起きた」
「ばっ、なんだよ……え?」
はい、と差し出されたそれは缶ジュース。
「今買ってきたからまだ冷たいでしょ」
「あぁうん、……ありがと」
受けとり、ぷしゅ、と口を開ける。
「えへ、かんぱーい」
「かんぱーい」
冷たくて甘いジュースが口を、喉を、体を潤す。
思わず笑顔になっていたみたいで、椿も花が咲いたみたいに笑顔になる。
この笑顔が好きなんだよな、と思いながらふと椿ごしに時計を見て、あ、と声がもれた。
「どうしたの?」
「時間、あと少ししかないなぁって」
「あ!俺、まだご飯食べてない!」
ガタッと立ち上がって慌てる椿に、俺もだよと声をかける。
「どうしよう、絶対お腹すくよ……」
「ねぇ椿、」
振り返って時計を見ていた椿がこちらを向く。
「次、さぼっちゃわない?」
「、え?」
「さぼってご飯たべてだらだらしよう?」
びっくりした表情の椿。
今までさぼったことなんかないし、驚くのも無理ないかも、なんて思った。
俺がこんなこと言うなんて珍しい?
だって、こう暑くちゃ授業なんて受ける気しないだろ?
そう言ったら、椿は首をかしげて、それからためらいがちに頷いた。
「みやちゃんと一緒なら、さぼるのもいいかも」
そして、悪戯っぽく笑った。
「ねぇみやちゃん、どこ行く?」
「……ノリノリじゃん、」
そう言って、つられておれも笑った。
暑い暑い夏だから、涼しい場所でも探そうか。
屋上なんてどうだろう?
きっと誰もいないよね?
……2人っきりの秘密の時間をすごそう。


END




[mokuji]



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テーマ「人外ファンタジー」
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