Intently-朝比名さんへ

がちゃ、がちゃん。
台所から音が聞こえたのでふと見ると、何やら荷物を抱えた椿がいた。
「なにしてんの?」
「あ、ミヤちゃん! あのね、今ケーキ作ってて」
そういう椿がなんだか楽しそうで、何となく面白くない気分になる。
「なんで?」
「え? ……えっと、」
椿は誰もいないのにキョロキョロとして、それからそっと俺の耳に口を寄せた。
「……へぇ」
上がった名前は予想外のもので。
でも、繋がりを大事にする椿なら当たり前と言えば当たり前のことかもしれない。
やっぱりなんだか面白くないけど、でも、今回は仕方ないかと思い直す。
「で、なれないケーキなんか作ってたんだ」
「うん。喜ぶかなぁって」
だんだんと広がってくるいい匂い。
オーブンを覗いた椿が笑顔を見せた。
どうやらうまくいってるらしい。
振りかえった椿が口を開く。
「ねぇ、ミヤちゃんも一緒に飾り付けしようよ!」
「……え、俺も?」
「うん! ほら、やろうやろう!」
半ば押しきられる形で冷蔵庫から材料を出す。
正直こういうの、俺もあんまり慣れてないんだけどね。
チョコプレートを手にとって、チョコペンの先をちょっと切って。書く言葉はもちろん、



―――― 朝比名さん、誕生日おめでとう



――――――――――――
おめでとう朝比名さん、そしていつもありがとう!!
大したものじゃなくてごめんなのですが、宮野くんと椿くんとケーキをセットにしてプレゼントするね!!
たくさん愛でてあげてください!!!!←


[mokuji]



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