まだしばらくは、このままでいい。(みやばき)

彼の、聞きなれた声、俺を呼ぶ声がひどく勘に障った。
だって、俺のことなんてなんとも思っていないでしょ?
知ってるよ。知ってるから、すごく惨めで。
そんなことを思ってる自分がすごく嫌で。
いっそ告げてしまおうかと何度も思ったけれど、その度にどろどろした感情が俺を襲う。
だって彼はすごく注目されていて。
すごく期待されていて。
それだけの力を持っていて。
いつかきっと遠い存在になってしまう。
そんな彼に、この思いを告げるなんて、できない。
だって俺は、……。
そんな思いで一杯になっている自分が嫌になって、繰り返される悪循環。
こんな感情を抱いている自分すらが嫌になって、いっそ彼から離れたくなって。
でもきっと、離れたら俺は、生きてはいけないから。
そこまで思いを廻らせたところで息をつく。
「ねぇミヤちゃん、きいてる?」
「……、あぁごめん、なんだっけ?」
「もうっ」
どんな関係であれ、君のとなりにいられる幸せを胸一杯に吸い込もう。
今はこの距離が、ちょうどいい。





確かに恋botよりお借りしました。
「彼の、聞きなれた声、わたしを呼ぶ声」

[mokuji]



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テーマ「人外ファンタジー」
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