キスの日。(サクセラ)


大好きな人の背中を見つけて、思わず駆け寄って抱きついた。
「堺さんっ」
「っ、」
びくりとする背中に頬を寄せて、仄かな香りを胸一杯にすう。
怒られるかとおもったけど、珍しく堺さんは怒んなくて。
代わりに無言で腰に回る腕をはずされた。
「堺さん、今日何の日か知ってます?」
「しっ……らない」
「……知ってるんスね?」
微妙な言い方、絶対知ってるって言いかけた!
知らないと言い張る堺さんの後ろを追いかけて認めてよって言ってたら、さすがに怒られて。
ただちょっとかまってほしかっただけなのに。
……ちぇ。
「わかったッス、もういわないッス」
口を尖らせてそう言うと、堺さんは「あーもう」と呟いて。
手がのびてきて、顔が近づいて、……唇にそっとキス。
「っ、」
「これで満足なんだろ」
ふいと背中を向けてしまう堺さんの首元はほんのり赤いような気がして。
……へへっ。
「堺さんっ、」
「あ?」
まだなんかあんのかよ。
そう言ってちらりとこっちを見た顔はやっぱり照れていて。
「やっぱりわかってたんじゃないスか」
そういって、ぎゅっと抱きつく。
「うるせぇ、いちいちくっつくな」
「けちっ」
その顔を見上げて、俺から唇に軽くキス。
ね、堺さん、堺さんからのキスも、その通り受け取っていいんスよね?
「……へへっ」
「、にやにやすんな、馬鹿か」
「馬鹿でもいいッスから」

END

唇へのキス:愛情

[mokuji]



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -