雨、虹(浜速?)


突然の雨、
「一緒にはいってく?」
と傘を差しだされて。


―――――――雨、虹


「朝はあんなに晴れてたのになー」
あっけらかんと言いながら、俺の隣を歩く浜野くん。
片手で傘を支えながら、もう片方の手でカバンを肩にかけなおす。
「ちゅーか、速水が傘忘れるって珍しくね?」
「今日はまさか雨が降るとは思ってなかったんですよ」
むしろ、浜野君くんはなんで傘持ってきてるんですか?
そう聞くと、浜野くんは得意気に鼻の下をこする。
「俺は置き傘してるからな!」
今にもえへん、といいそうな浜野くん。
いやいや、そこは自慢するところじゃないですからね。
・・・いや、でも、置き傘もこういう時にはいいのかもしれない、なんて、少し。
まぁ、とにかく。
「腕疲れたら言ってくださいね、俺変わりますから」
「はいよー」


なんとはなしにぼーっとあるいていると、気づけばもういつもの分かれ道。
「あ、じゃあ、ありがとうございます」
そう言って、傘を出ようとする俺の腕を、ぐ、とつかんで引き止める浜野くん。
意外と強いその力に、おもわず痛っと声を上げると、ぱっとその手が離れる。
「ご、ごめん・・・ちゅーか、どこ行くの速水」
「どこって、家ですけど」
いや、そうじゃなくて、と。
「濡れるじゃん?」
「でも浜野くんの家、あっちじゃないですか」
「でも速水が濡れるじゃん」
「でも、」
そんな言い争いをしていて、きづけば結構な時間がたっていて。
「もう、とにかく俺は帰りますからね?」
「あっ、ちょっ、速水!」
浜野くんの手を払って傘の外に出た俺。
・・・・・・・・あれ?
「「・・・・・・・」」
雨、やんでるんですけど・・・・・・。
えー・・・。
バサバサ、浜野くんが傘をたたむ音が聞こえて。
「ちゅーか、俺らなんかむなしくね?」
「ですよね・・・何のために言い争ってたんですかね」
さっきの言い争いを思い出して、なんだかおかしくて。
思わずクスリと笑うと、何笑ってんだよ、と笑いながら小突かれた。
浜野くんだって笑ってるじゃないですか、といいながら振り返ると、
「あ、虹」
「虹?」
あわてて浜野くんも振り返る。
とても鮮やかな虹色が、はっきりくっきりと空に弧を描く。
少しの間、二人とも声を出さない無言の間。
でも、全然その間は嫌なものじゃなくて。
むしろ、とても心地いい間。
「・・・明日さ、」
「はい?」
「雨かなぁ」
「・・・どうでしょう」
「・・・明日も速水と虹見れたらいいなーと思って」
「・・・みれたらいいですね」


END

そういえばさー、虹の根元に宝物がうまってるって知ってた?
・・・まさか探しに行くとか言いませんよね?
もちろん速水も一緒にだぞ!
えー・・・

[mokuji]



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