Intently-朝比名ゆずき様

「最近さー、赤崎と椿、仲良いよな」
「そーすか?」
「うん。だって最近いつも一緒にいるじゃん?」
「……世良、置いてくぞ」
「え、あっ、待ってください!!ジャーな赤崎!お疲れ!」
「………いつも一緒ってのはアンタと堺さんのことだろーよ」


――――すべて君のせい。


「―……さん、ザキさんっ」
「……え?………!?」
うわっ、ドッ、ガタン。
「いたた……」
「あ、その、…わりぃ」
「もー、押さなくたっていいじゃないっスか」
「それは、」
お前がそんな近くにいるから。
そういうと、ぶつけた腕をさすりながら椿がいう。
「だってザキさん、いくら呼んでも返事しないンスもん。寝てるのかなぁって思って」
「だからって近すぎるだろ!ぶつかるだろ!考えろ!」
「う、……すんません」
「あー……」
しゅん、とする椿。
少し強く言い過ぎたか。
これは謝るべきなのか……一応謝るか……いや、でもおどかしたのは椿なんだから……。
落ち込んだ椿は放っておけないオーラを出しているような気がして、言葉に詰まる俺。
あー、どうすっかなぁ。
とんとん、と肩を叩かれ、ふと気づくと首をかしげて見つめる椿。
「ん?」
「ザキさん、また考え事して黙ってたから気になって…」
「あー、いや、」
お前のこと考えてた、なんて気持ちわりぃな。
「大したことじゃねーよ」
「でも……」
「大丈夫だから」
「……」
俯きながら、えっと、その、うんと、なんて言っている椿。
ん?なんだ?
椿?そう声をかけようとした瞬間、バッ、と椿の顔が上がる。
「あの、悩みとかあるなら、その、……俺でよかったら話聞くッス!いや、あの、聞くしかできないッスけど…」
「あー確かに聞くしかできなそう」
「えっそんなハッキリ……」
せっかく勇気を振り絞ったのだろう椿。
なんだか恥ずかしく思えて思わず俺がいった言葉に、目に見えてしょぼんとする。
そういえば、椿がこんなにいろんな表情を見せてくれるようになったのはいつからだったか。
最初はあんなにも緊張していたってのに。
あぁ、そうか、ここんとこずっと一緒にいるから。
だから、……そうか、だから「仲良い」って言われんのか。
「いつも一緒」か、よく考えれば、確かにそうだ。
帰りが一緒だったり、一緒に飯食いにいったり、一緒に遊びにいったり、あとは……。
………まて、一緒にいすぎじゃねーのか。
だって他のやつらってこんなに一緒にいるか!?
あ、いや、これは椿が頼りないからであって、だから気づけば目で追ってるだけで、気づけば口を出してるだけで、そう、別に何も他意は……。
そうだ。
椿が頼りないから、
「あれ、ザキさん?」
だから俺は、
「ザキさん、また考えごと……」
気になってるんだ。
ひとつため息をついて、それからまた大きく息を吸って、名前を呼ぶ。
「椿、」
「あ、は、はいっ」
「飯、食いに行くか」
「……はいッス!!」
ぱぁ、と輝く顔。
この表情を見て嬉しいのも、
きっと椿が頼りないから。……たぶん。


END


あ、そだ、ザキさん、
ん?
俺今日世良さんに、赤崎と仲良いなって言われたンスよ。
へえ。椿もか。
えっと、俺、それで、……
ん?
あの、うまく言えないンスけど、
いーよ、言ってみ。
お、俺、……すごく嬉しかったッス!
……そーかよ。よかったな。
はいッス!



――――――――

だれおまな作品ですが、よければもらってくだせぇ……!
荒ぶるゆずきが大好きです!!!笑

[mokuji]



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -