そんなの決まってる。(ザキバキ)

「ザキさん」
「ん?」
「あの、えっと、」


―――――そんなの決まってる。


「プレゼント?」
「は、はい」

顔をあげて正面の顔を見る。
目が合うと椿は少し照れたように視線を下げる。

「その……どんなのほしいのかなぁ、と思って」

考えてたンスけど、やっぱりわかんなくて。
そんなことを言う椿。
なんだ、さっきから黙ってるなあと思ったらそんなことを考えてたのか。

「ていうか、何で急にプレゼント?」
「え、いや、あの……」
「?」
「……お、俺ちょっとトイレ行ってきます!!」

急に立ち上がりバタバタと出ていく椿。
なんかまずいこと聞いたのか、俺。

……にしても、あいつも何だかんだでここに慣れたよなぁ。
はじめてうちに来たときは何をするにもビクビクしてたのに、今じゃのど乾いたって冷蔵庫開けたりするし。
まあ、さすがにそれは声かけてくるけど。
つまり、椿と出会ってからそれだけ長い時間がたったわけか。
一緒にいるのが心地よすぎて、自然すぎて、もうずっと昔から一緒のような気がする。
そんなこと考えて、らしくない、と一人笑いをこぼした。

カチャ
「おかえり」
「た、ただいま」

これは未だ言い慣れないのか。
少し照れたようにはにかみながら言う椿。
あ、と思わず声に出した。
なんだ、欲しいもの、あるじゃん。

「椿」
「はい?」

こいこい、と手招きをすると寄ってくる椿。
その手をつかんで引き寄せ、うでのなかに閉じ込める。

「ざ、ザキさん?くるしっ」
「椿」
「なんスか?」
「俺、欲しいものあったわ」
「え、なにほしいンスか?」

パッと顔をあげて俺を見る椿。
その輝いた顔に、そっと口付けて。
欲しいものなんて、そんなの決まってる。

「椿、――――――」
「っ!」

椿の顔が真っ赤に染まる。
一言問うと、唇を噛んでうつむく。
いつでも椿が逃げられるように、そっと腕を緩める俺。
椿はピクリとして、それからそっと顔をあげると、……ふわり、と優しいものが頬に触れる。
火でも出るんじゃないかと言うくらい真っ赤な椿。
思わずもう一度強く抱き締めた。

「椿、」
「はい」
「……いいの?」
「……………………はい」

小さく、でもはっきり聞こえた肯定の言葉。
俺はもう一度しっかりと椿を抱き締めて、その首筋に華を咲かせる。

「っ、」
「俺のだから、しるし」
「……はいっ」

なんだかその声が嬉しそうに聞こえて。
椿、おいで。
手を引いて立ち上がると、少し顔を赤くしながら素直についてくる。

……大事にする。
絶対、もうはなさない。
そう胸に誓って、俺はもう一度椿を抱き締めた。



END

そういえば、何で急にプレゼント?
あの、その、……
今さらなに恥ずかしがってんだって
……来週、
来週?
……や、やっぱいいッス!何でもないッス!
えー、気になるんだけど……

[mokuji]



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