それは正夢?(モチバキ)
「ねえ椿くん」
「……っ、や、あの、」
「言ってくれたらご褒美あげるから、さ?」
「…………………っ、」
――――それは正夢?
「にゃあ」
声を出して目を覚ます。
……何て夢を見たんだ……。
持田さんににゃあって言わされる夢だなんて、しかも寝言だなんて、………うわあ。
恥ずかしさと動揺でもんもんとする一日のはじまりだなー……。
思い出しては赤面、そしてチームメイトにからかわれながら練習が終了。
特に丹さん。あんなにからかわなくたって……あーもう、思い出すだけでも恥ずかしい。
それにしても、何であんな夢見たんだろう。
場所はどこだったっけ?
にゃあ以外がもう思い出せないな……なんて考えてたとき、携帯が着信を知らせる。
ディスプレイを見て、……あ、持田さんだ。
なんかなー、あんな夢見たあとだしちょっと恥ずかしいなー、なんて思いながら電話に出る。
いつの間にか夢のこととか考えてて、上の空だったみたいで。
『椿くん? 聞いてんの?』
「にゃあ!」
『…………は?』
「…………え?」
『……………………』
「……………………」
『……………………』
「……………………あ、あの、」
『……………ぶはははははははは!!!』
盛大に笑われてるし!!
「あ、あの持田さん!」
『それいい!』
未だ爆笑したまま、持田さんが言う。
『ねー椿くん、いいこと考えたから、うち来て』
「え、」
『待ってるからねー?』
帰ろうと思ったのに。
でも、『はやく来てくれたらご褒美あげるから、さ?』なんて言われたら。
やっぱり逆らえそうにないな……。
END
夢のことも思い出しつつ、……少しだけ今後にも期待しつつ。
早足で向かうは、彼の家。
[mokuji]