Intently-朝比名ゆずき様


今日はなんだかとってもいい天気。
家の前を通り過ぎる長毛の猫が、ちらりとこっちを見た。
そして、何かに気づいたように俺に近づいてくると、足に体を摺り寄せてくる。
そのもふもふの体をなでながら、つぶやく。
「猫っていいよなぁ・・・。」
猫になれたら、なんて思った次の瞬間、暗転した。


―――――流行性猫症候群


買い物へ行こうと家を出ると、家の前に金色の猫がいました。
本当に綺麗な金色の。
そしてなぜか彼(もしくは彼女)はわたしの家の扉の前でぐるぐると円を描くように回っています。
・・・なんなのでしょうか?

「あの・・・」

恐る恐る声をかけると、その猫はびょんっと上に跳び上がると、くるりと振り返ってこちらを向きました。
その顔を見た私は、思わず噴出しそうになりましたが辛うじて堪えました。
だって、その・・・立派な眉毛(の様な模様)があるのですから。
まるでイギリスさんのようです。
猫はキラキラとした目でこちらを見つめると、にゃーにゃーと必死に何かを訴えています。
しかし、残念なことにわたしは猫の言葉がわかりません。
うーん、やっぱりご飯が欲しいんでしょうか?
ええ、きっとそうです、そうに違いありませんね。

「こっちです、つてきてください」

買い物は中止、この猫が食べられそうなものは・・・あぁ、その手がありました。

「ここで待っていてくださいね」
「にゃー」

台所の前で猫に声をかけると、わたしは台所へ行って鍋のふたを開けて中身を確認しました。
うん、これなら大丈夫そうです。


手早く準備をして振り返ると、扉の隙間から金色の顔が見えました。
よっぽどおなかがすいていたみたいですね。
お皿を持って猫のもとへ。
どうぞ、そういって差し出すと、猫は用心深く覗いてにおいをかいで、それからちろりと舐めて。
尻尾がピクリと動きました。
それから猫はお皿に顔を突っ込むと、すごい勢いで食べ始めました。
やっぱり猫にはねこまんまですね。

「おいしいですか?」
「んにゃっ」
「それは良かったです」

食べ終わったお皿を流しに下げて、ふと見ると猫がいません。
どこへ行ったのかと思えば、縁側の日当たりのいい場所に丸くなっていました。
幸せそうな笑みが浮かんでいます。

「寝るんですか?」
「にゃ」
「隣、良いですか?」
「にゃ」

許可をもらったので、隣に腰掛けるわたし。
猫の背中をなでていると、ぽかぽかとして暖かく気持ちが良くて。
なんだか私までうとうとし始めてしまいました。
猫の暮らしってどんなものなのでしょうか。
一度か猫になって見たいものですね・・・。
そう思った次の瞬間には、わたしの意識は暗転していました。


気がつくと、わたしの横には大きなイギリスさん。
・・・え?

「へぇ、日本って猫になったらこんな猫なんだな!」

・・・猫?
首をかしげて、ふと自分の体を見ました。
・・・・・・え?
これは、どういうことなのでしょうか。
わたしが猫になってる、だなんて。

「なんか、誰から始まったのかわかんねーんだけど、猫になった人に触りながら『猫になりたい』って思うと、猫になっちゃうらしいぜ」

俺はフランスから聞いたんだけど。
そういってわたしの体をもふもふするイギリスさん。
気持ち良いのですが、少しくすぐったいですね。

「さーて、じゃあ俺は帰ることにするわ! 日本も誰か見つけて早いとこ人間に戻れよな!」

イギリスさんは最後にひとつわたしの頭をなでると、出て行ってしまいました。
・・・わたしはこれからどうすればいいのでしょうか・・・?


END


「うわー、かわいい猫だねぇ、ドイツ! なんだか日本に似てるみたいじゃない?」
「ま、まさか日本、お前も誰かに・・・!?」
「どうしたの、ドイツ、なんか変だよ?」
「いや、その・・・」
「あーあ、猫っていいなぁ。僕も猫に「言うなイタリア!」みたいなぁ」
ポワンッ
「あ、ど、どうも・・・」
「にゃ?」
「・・・はぁ」



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遅くなりまして本当に申し訳ありません!
ていうか日英仏が出てくるのって言われたのにフランスの出番wwwww
なんかすごく微妙な話ですがww
よければ受け取ってください!!
では相互ありがとうございました!



[mokuji]



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