支え(綱海と立向居)
雨の海を、見ていた。
土砂降りの当たる水面は揺れ続ける。
息をするたびに雨が入ってきて、それでも傘をささないまま、ずっと海を見ていた。
どれだけ見ていたのか。
ふと、雨が当たらなくなったことに気づく。
「風邪、ひきますよ」
「立向居・・・」
いつの間にきたのか、立向居が隣で傘を差していた。
そして、そのまま黙って海を見つめている。
何も、聞いてこない。
ただ黙って隣に居るだけ。
なんだか気まずくて、どうにかしなきゃと思って、俺は立向居に笑顔を向けた。
「あー、その、気ぃ使わせて悪ぃな!このままじゃお前も風邪ひいちまうし、帰るか?」
立向居は俺を見て困ったような顔をすると、足元に視線を落とした、
ためらいがちに開かれる口、小さな声。
「あの・・・えっと、いつもありがとうございます」
「は?」
「俺が悩んでたら話聞いてくれて、練習付き合ってくれて、・・・本当に、ありがとうございます。」
「え、あぁなんだ、いーっていーって!気にすんなよ!」
「俺、」
ひらひらと手を振っていると、立向居が急に声を大にする。
びくりとする俺。
視線がぶつかる。
「いつも綱海さんに助けてもらってばかりで。だから、たまには力になりたいんです!」
「・・・立向居」
「悩んだっていいじゃないですか、立ち止まったっていいじゃないですか、少し休んだってそれから叉歩き出せばいいじゃないですか!・・・俺は、そう思います。」
雨で冷えきった俺の手を、暖かな立向居の手がつつむ。
「俺、役に立たないかもしれないですけど、話を聞いたりぐらいはできます。だから・・・一人で居なくならないでください・・・」
そういって真剣な目で見つめてくるものだから、俺はなんだか気恥ずかしくなって、立向居の頭をわしゃわしゃとなでた。
「うわ、ちょっと何するんですか綱海さん!!」
もう、傘入れてあげませんよ、なんて顔を赤くして言う立向居。
それがとてもかわいくて思わず笑いをこぼすと、立向居は一瞬きょとんとしてからじわりと涙をにじませる。
「よかった・・・」
「な、何がだよ?」
泣かせてしまった原因がわからなくておろおろとする俺。
「綱海さん、やっと普通の笑顔になってくれたから・・・」
思わず抱きしめてやりたい衝動に駆られたけれど、自分は全身びしょぬれで。
俺は親指で涙をぬぐってやる。
「さっき、綱海さんが消えてしまうんじゃないかと思って怖くて・・・」
よかった、本当によかった。
そういって泣き笑いを見せる立向居。
その頭を軽くぽんとたたいて、俺は声をかけた。
「立向居、」
「はい?」
ぐしぐしと目をこすって立向居が返事をする。
その手から傘を取って、反対の手を差し出すと、ためらうようにそっと手が重ねられる。
俺はその手をきゅっと握ると、口を開いた。
「――――――」
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ぐだぐだ☆
×か+かもわかりません←
最後のせりふはご想像にお任せします!笑
[mokuji]