座木さんとリベザル
とくん、とくん、とリベザルの心臓の音が座木の耳に優しく響いた。
いつの頃からか、座木は寝付けない夜にリベザルの心音と温もりを抱いて眠るようになっていた。
さながら抱き枕のように抱き締められているリベザルは、すやすやと気持ち良さそうに眠っている。
「人の温もりというのは、どうしてこんなに安心するのでしょうね」
一定の速度で聞こえる心音と子供特有の高い温度に、座木の瞼が重く、ゆっくりと降りてくる。
「おやすみ、リベザル」
座木は幼い体を優しく抱き締め、薄い胸に額を押し付けると心地よい浮遊感に身を任せた。
「兄貴、おやすみなさい……」
意識を手放す直前に座木の耳に、辛うじて聞き取れる寝言で返事をしたリベザル。
小さな手が、座木の艶やかな黒髪を梳くように撫でた。
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