さらり、と髪が風に揺れた。 銀ちゃんと一緒に新八の家に遊びに行ったら、姐御が縁側に座ってまどろんでるのが見えたアル。 風が優しく吹いて、姐御の髪を気まぐれに揺らしてたネ。 さらり、さらり。 誘われるように姐御の傍に寄って、そっと膝の上に頭を乗せてみたヨ。 姐御の膝の上は、柔らかくて気持ちいい。 顔を見上げると姐御は目を瞑ってて、長い睫毛で影が出来てるのが見えたアル。 思わず見とれてると、頭を優しく撫でられたアル。 起こしちゃったかと口を開きかけると、姐御の人差し指が優しく私の唇に当てられたネ。 そして静かに姐御の目が開いて、唇が「シィ」と動いて、いたずらっぽく微笑んだ。 私がニッと笑って応えると、また姐御は静かに目を閉じたアルヨ。 私もつられるように、ゆっくりと目を閉じたアル。 さらり、と春風が優しく頬を撫でていくのを感じながら、姐御とお昼寝。 外から風に乗ってなんか雑音が聞こえるけど大したことないネ。 この場所は誰にも譲らないアル。 ************************************* そのころ、志村邸の外では――― 「お、お妙さん…っ!!なんて美しい寝顔なんだ!!俺も一緒にお昼寝します!!」 「そんなにテンション高くて昼寝出来るのか?起こしちまってボコられるのが関の山だ。俺が行く」 「えぇぇぇ!?ちょっ、俺が行くって、トシィィィ!?」 「やーだ、多串くんたらむっつりスケベ〜!こんなところで油売ってないで江戸の平和でも守りに行っとけや」 「またどこから湧いてきやがったこの天パは。年中プラプラしてるテメーに言われたくねーよ。お前こそパシリでも何でもいいから馬車馬のように働けや」 「大きなお世話だ日々消費活動して社会に貢献してるからいーんだよ。つーか鬱陶しいからチンピラ警察はさっさと去れ。特に多串君はヤニ臭ェんだよお妙が起きちまうだろうが」 「鬱陶しいのはテメーの天パだ無生産階級のロマンスグレーが。そもそもテメーとお妙さんは無関係だろうが」 「万事屋稼業ナメんじゃねーぞコノヤロー。無関係っつったらテメーもそうだ自覚しとけ」 「違うな。テメェと近藤さんはマイナスからの出発だが、俺はプラマイゼロだ。マイナス野郎は出直して来いや」 「おいトシ、マイナス野郎って俺も入ってるのか?」 「バッカ、お妙は煙草吸う男キライなの。出直すのはお前の方だ」 「ハッ、プーの糖尿予備軍よりはナンボかマシだ」 「やんのかテメー」 「上等だコラ」 「お妙さんは渡さん」 「どっちでもいいですけど、お前らには姉上は渡しませんよ」 「「「うるせーシスコン眼鏡」」」 「何だとォォォォ!眼鏡をナメんじゃねェェェ!!」 (050418)拍手ログ |