春風/ALL→妙




さらり、と髪が風に揺れた。


銀ちゃんと一緒に新八の家に遊びに行ったら、姐御が縁側に座ってまどろんでるのが見えたアル。

風が優しく吹いて、姐御の髪を気まぐれに揺らしてたネ。
さらり、さらり。
誘われるように姐御の傍に寄って、そっと膝の上に頭を乗せてみたヨ。
姐御の膝の上は、柔らかくて気持ちいい。
顔を見上げると姐御は目を瞑ってて、長い睫毛で影が出来てるのが見えたアル。

思わず見とれてると、頭を優しく撫でられたアル。
起こしちゃったかと口を開きかけると、姐御の人差し指が優しく私の唇に当てられたネ。
そして静かに姐御の目が開いて、唇が「シィ」と動いて、いたずらっぽく微笑んだ。
私がニッと笑って応えると、また姐御は静かに目を閉じたアルヨ。
私もつられるように、ゆっくりと目を閉じたアル。


さらり、と春風が優しく頬を撫でていくのを感じながら、姐御とお昼寝。
外から風に乗ってなんか雑音が聞こえるけど大したことないネ。
この場所は誰にも譲らないアル。



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そのころ、志村邸の外では―――

「お、お妙さん…っ!!なんて美しい寝顔なんだ!!俺も一緒にお昼寝します!!」

「そんなにテンション高くて昼寝出来るのか?起こしちまってボコられるのが関の山だ。俺が行く」

「えぇぇぇ!?ちょっ、俺が行くって、トシィィィ!?」

「やーだ、多串くんたらむっつりスケベ〜!こんなところで油売ってないで江戸の平和でも守りに行っとけや」

「またどこから湧いてきやがったこの天パは。年中プラプラしてるテメーに言われたくねーよ。お前こそパシリでも何でもいいから馬車馬のように働けや」

「大きなお世話だ日々消費活動して社会に貢献してるからいーんだよ。つーか鬱陶しいからチンピラ警察はさっさと去れ。特に多串君はヤニ臭ェんだよお妙が起きちまうだろうが」

「鬱陶しいのはテメーの天パだ無生産階級のロマンスグレーが。そもそもテメーとお妙さんは無関係だろうが」

「万事屋稼業ナメんじゃねーぞコノヤロー。無関係っつったらテメーもそうだ自覚しとけ」

「違うな。テメェと近藤さんはマイナスからの出発だが、俺はプラマイゼロだ。マイナス野郎は出直して来いや」

「おいトシ、マイナス野郎って俺も入ってるのか?」

「バッカ、お妙は煙草吸う男キライなの。出直すのはお前の方だ」

「ハッ、プーの糖尿予備軍よりはナンボかマシだ」

「やんのかテメー」

「上等だコラ」

「お妙さんは渡さん」

「どっちでもいいですけど、お前らには姉上は渡しませんよ」

「「「うるせーシスコン眼鏡」」」

「何だとォォォォ!眼鏡をナメんじゃねェェェ!!」



(050418)拍手ログ






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