第二十七話

私が気が付いた時には奥州の政宗さんの城にいた。

「名前!」
「・・・皆さん、」


横を見ると喜多さんも小十郎さんもいた。
でも、政宗さんの姿は見えなかった。

「政宗さんは?」
「名前さん、よく聞いて。
 政宗様は・・・、意識がまだ戻らないの・・・・・・」
「・・・・・・・え、嘘っ」
「嘘じゃない、政宗様は名前を抱いたまま爆風に巻き込まれて落ちたんだ、あの場所から」
「政宗さんっ!」

私はいても経ってもいられなくなって、部屋を出ようとするが、体が痛みでうまく動いてくれないのと喜多さんたちに抑えられたので、立つことさえままならなかった。

「政宗さん、政宗さん・・・っ、どうして、私なんか」
「名前さん、しっかりして。
 今はとにかく政宗様の意識が戻ることだけを祈っておきなさい」
「喜多さん・・・。
 わかりました、政宗さんを待っておきます。
 でも、政宗さんのところへ行かせてはもらえませんか?」
「でも、あなた体が・・・−」
「俺が連れて行ってやる、どうせ言っても聞かないだろ」

小十郎さんが私の体を抱えて、政宗さんの部屋へ連れて行ってくれた。
その間でさえ、辛くなってしまう。
一番辛いのは政宗さんのはずなのに。



政宗さんは静かに眠っていた。
少なからず、爆風の時に受けたと思われる傷が顔に残っていた。

「政宗さん、私のせいでごめんなさい・・・」
「そんなに気に病むなよ、逆に政宗様が辛くなってしまう」
「でも・・・」
「そんなに申し訳なく思うなら、政宗様を信じて待ってろ。
 自分の部屋に戻るときはまた呼んでくれ」
「はい、ありがとうございます」



小十郎さんが私を部屋に残して、出て行ったために政宗さんと二人きりになった。
眠っている政宗さんにいくら呼びかけても、その日はとうとう政宗さんの意識が戻ることが無かった。


「政宗さん、大好きです」

政宗さんの手をぎゅっと握ると少し反応した気がするのは現実か、思い違いか・・・。
ただそれが、現実だと願った。

私は政宗さんの傍で一夜を過ごした。









  


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