第二十五話

一人になって考えるのは、いつしか政宗さんのことばかり。
日が過ぎる毎に恋しく思う気持ちが大きくなっていっている。


そして、時は満ちた。


『お前ら、必ず見つけ出せ!』
『おおおおおー、筆頭おおおおおおっ!!』
『coolに行くぜっ、お前らは小十郎を頼んだぞ』
『名前ちゃん、筆頭が行くまで待ってろよー』

外から政宗さん率いる、伊達郡の皆さんの声が聞こえてきた。
これで、竹中半兵衛が賭けの勝ちとなった。
それでも、嬉しくて・・・私は涙を流していた。

「政宗さん、政宗さん・・・」

その時、襖が開いた。

やっと会える、そう思ったのに。

そこにいるのは政宗さんでは無かった。
もうお馴染みとなっている竹中半兵衛だ。

「どうやら、僕の勝ちだったようだ。
 でも、もうしばらく君は付き合ってもらうよ」

そう言って、私の腕を強引に掴んで、外へ出した。
城の石垣に立つと下にはたくさんの伊達軍の皆さんがいた。

「政宗君」

竹中半兵衛は軍中に聞こえるような声で、政宗さんを呼んだ。
その言葉に下にいる政宗さんが前に出た。
小十郎さんが政宗さんのところに戻ったところを見て、ホッとした。


「ほら、君が望んでいた、真田名前君だ」

竹中半兵衛が指さした先には、私の姿をしている人が今私たちがいる方向とは反対側にある気に縛られていた。
違う、そう叫びたかったのに竹中半兵衛が政宗さんたちには見えないように私の口を押さえているものだから、声を発そうにも何も出ない。

「あの子は君に返そう、だが、伊達は豊臣に降伏してもらう」

そう不敵に笑って政宗さんに言った。
政宗さんは何も言わず、木へ近づいて行った。

どうして?
その木へ行ったら降伏が条件になっているというのに?

「君とはお別れだ、政宗君・・・」

竹中半兵衛がそう言った瞬間に木に縛られていた私の姿をした人から白い煙が立ち上がった。
瞬間に政宗さんを襲おうとした。

「政宗さんっ!」

やっと声が発せたところで政宗さんはー・・・


煙が全て消えて政宗さん、ではなく佐助がそこにいるのが見えた。
下には先程の人の体が転がっている。


「っ、何故だ! 
 何故甲斐武田の忍びがっ」

竹中半兵衛は大分動揺している。
佐助は驚いている私に向かってピースサインを送った。


「・・・じゃあ政宗さんは?」
「此処だ」

声のした方を振り返って見ると、そこに政宗さんがいた。


「政宗さんっ!」
「名前っ!」

政宗さんは瞬間的に私を抱きしめた。
その政宗さんの温かさにまた涙が出てしまいそうになる。


「政宗さん、ごめんなさい、ごめんなさいっ、私のせいで・・・ひくっ」
「ほんと、まったくだ。
 もう俺の元から離れるな、何処にも行くなっ」
「ごめんなさ、いっ」
「好きだ、名前」
「私も政宗さんが大好きですー」










  


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