第十八話
今から十九年前、あるところに男児が生まれた。
そいつは結構いい家柄の嫡男として生まれた。
嫡男だから、たくさんの愛情を受けた。
そいつも幸せで、その幸せはずっと続くと思ってたさ。
・・・だが、そう甘くは無かった。
そいつはな、病気にかかったんだ。
聞いたことあるか、天然痘だ。
そりゃ治す薬もあるわけねえ、苦しんだ。
まあ何とかして治ったんだが。
そいつは酷く醜くなった。
顔中にあばたができて、右目の眼球が飛び出てたんだ。
嫡男だっていうのにな、そいつを愛する奴はほとんどいなくなった。
・・・母親だってそうだ。
肉親までもがそいつから遠ざかり、愛情を失くした。
それから、そいつにとっては毎日が生き地獄だった。
辛うじてまだそいつを愛せる奴はいたようだが、ほとんどの人間がそいつを気味悪がってな・・・、遂には陰口さえも叩かれた。
身分があるから、表では何も言わねぇがちゃんと目が物語ってんだよ。
”気味が悪い”ってな。
政宗さんが”そいつ””そいつ”と言っているのは政宗さん自信だろう。
辛そうな顔をしている。
それでも、彼は話をやめようとはしなかった。
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