第十三話

「あれだね、名前ちゃんって人には心許しても開かない・・・、いや、開けない方の子でしょ?」
「っ!?」
「図星って顔してる、俺様わかりやすい子は好きだよ〜」


笑顔でいながらも、この人は何を言っているの?
私が人に心開けない、って?


「・・・・・・どういうことですか?」

私は冷静になりながらも、猿飛佐助の方をじっと見る。

「ほらほら、そんな怖い顔しないで。
 どうしてわかったか教えてほしいって顔してるね
 教えてほしい?」

私は黙ったまま肯いた。
このまま、何かアクションを起こしていたらむやみやたらと心の中を読まれそうな気がした。

「奥州の人は好き?」
「勿論です。
 とっても私によくしてくださいますし、今の私の居場所はそこしかありませんから」
「竜の旦那のことも?」
「当たり前です」

さっきから何を聞かれてるの?
お世話になってるし、私が奥州の人たちのことを嫌っている訳がない。




「そっか、まだ自分でもわかってなにのか」
「え?」
「竜の旦那とうちの旦那、どっちといたら楽しい?」

え?
政宗さんと、幸村さん?
まだこの世に来たばかりだし、甲斐に来たのも初めてだし。

人間的には幸村さんは兄さんに似ている分親しみを感じてしまう。
政宗さんのことはぶっちゃけあまり良く知らない。

「そんなことは考えたことないですね」
「ということはうちの旦那が有利なのかな?」
「別にそなこともないですけど」
「”同族嫌悪”って言葉知ってる?」
「ええ、まあ、はい」


それがどうしたんだろう。
自分と同じだから嫌になる、そんな体験今までしたこともない。


すると、猿飛佐助はクスッと笑った。


「その内、身を持ってわかるようになるだろうね」

私にそう言い残して手を振って消えた。
その途端に、二人が帰ってきた。


「身体の具合はどうだ?」
「おかげ様でもうすっかりですよ」
「ならいいでござるが、あ!」
「どうした?」
「このお館様の館には秘湯がある故、そこで休んでいかれてはどうでござるか!?」

『・・・・・・・・・(秘湯って、んな簡単に出していいのか?)』

きっと政宗さんも私も同じことを思ったんだろうね。
私たちは顔を見合わせた。

「さすがに悪いのでそれは遠慮させていただきます」
「そうだな、話は済んだ。名前の体調次第で俺たちは帰るつもりだ」
「え、もうでござるか?」
「もう、っつても小十郎に任せて来てるっても俺がいねぇと駄目だろ?
 あと、俺が怒られんだろ you see?」


確かに政宗さんにとって御尤もな理由だった。
そして、私はつい笑ってしまった。










  


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