第十二話

しばらく政宗さん、幸村さん、私の三人で雑談をしていた。
ふと頭を過った疑問・・・。

「そういやどうして此処へ?」

『ーっ!!』

・・・・・・もしかして、二人して忘れてたんじゃ。
そのことについて聞いてみると政宗さんは別に忘れた訳じゃねぇ、ただアンタがいたから話してただけだ、と顔は真正面を向いているのに顔だけは逸らしてそう言った。
幸村さんに至っては何も言うつもりはないらしい。つまり、政宗さんと違って素直に認めてる訳ですね。


「それで用事は何だったんですか?」
「Ah〜・・・織田、豊臣、徳川・・・アンタが言う天下取りの奴等だな?
 織田はもう一気にかたを付けてやる、ただ問題は今は次の豊臣だ。
 武田のおっさんなら何か知ってると思ってな」
「お館様にござるか!?」

ちょっとしょぼんとする幸村さん。
・・・あれかな?
ライバルって言ってるぐらいだから自分に会いに来てくれたって思ってて嬉しかったのかな?
それで、結局武田信玄に用があるってわかって恥ずかしさも込み上げてきてさらに政宗さんの奥州筆頭という頭の雰囲気を出されて一人少しおいて行かれたような気がして・・・っていう感じかな?
そうというか、そうだと思う。
何ていうか、この人凄く感情がわかりやすい。
顔に思いっきり書いてあると言っても過言では無いと思う。

政宗さんもそう思ったのか少し笑っていたりもする。

「で、武田のおっさんに会わせてもらいてぇんだがいいか?
 名前、悪いが此処で待っててくれ。直ぐにとは言い切れねぇができる限り早く戻ってくるから」
「はい、お構いなく行ってきてください」

私の言葉を聞いて安心したかのように二人は部屋を出た。


その時だった。後ろに気配を感じた。
振り返って見てみると忍び装束の男性が一人。
・・・もう何でも有りだね?

「こんにちは〜」
「こ、こんにちは!
 え、えと貴方は・・・?」

ノリ軽!、とか思いながらも尋ねてみたら親切にも答えてくれた。

「俺様は猿飛佐助、真田の旦那の部下の一人だって言ったらわかるかなー?」

猿飛佐助、ってあの十勇士の?
だいぶ有名人じゃないの!

「わかりますよ!
 あ、えと私ー」
「名前ちゃんでしょ?さっきまでずっと俺様天井裏にいたもんだからさっきまでの話は聞こえちゃってたりもするんだよ?」
「プライバシー皆無ですね・・・」
「ん、ぷらいばしぃ・・・?」
「何にもないです、こっちの話です。
 それで、どうしたんですか?
 仕事中みたいな雰囲気出てるのに私のところへ来ちゃいましたし・・・」
「別に深い意味は無いんだけどね?」


目の前の忍者は私をじっと見て面白そうに笑った。


「俺様、個人的に真田の旦那と竜の旦那だと竜の旦那のタイプに似てるんだよね。
 それで名前ちゃんも同族かな〜、って思って話してみたかったんだよね〜」


私が似てるってことだよね?
・・・・・・・・・・・・・・・・ん?

意味がよくわかっていないだけの私に佐助さんは言葉を続けた。













  


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