第四話

朝目が覚めて、起き上がるなり私は伸びをした。

外を見渡すと、ビルも街灯もない何処か懐かしい日本の風景。
そうだ、此処は奥州だ。

心細さに顔を顰めてしまうが、顔を叩いて口角を上げる。
うん、これでいつも通り。

これで、笑顔。

朝真っ先に笑顔を作りだす、これが私の日課だった。





「政宗さん、起きてください!」

朝一番に政宗さんを起こすのが私の仕事だった。
朝が弱いのか、叫んだって叩いたってなかなか起きてはくれない。

「まだ、だ。俺はまだ寝る」
「何、ちょっと格好つけてるんですか!
 いい加減起きないと小十郎さんを呼ばないといけないですよ?」
「・・・Good morning」

テンションがやたら低いが、これが政宗さんのいつも通りの姿だ。
それだけ、小十郎さんが怖かったりもするんだろう。
私が持つ小十郎さんのイメージは政宗さんのお父さんだったりする。



ちなみに、顔が怖いと思ってた小十郎さんは意外にもいい人だった。
いつも朝畑にいて野菜を育てていて手伝うこともあれば、野菜を真っ先に食べさしてくれたりもする。

その味もまた美味しくて現代のものは比べものにはならなかったほどだ。
小十郎さんがいうには旬が関係するらしいけど、それ抜きでも本当に野菜は凄く美味しい。


「政宗さん、早くしないとせっかくの朝餉も冷めちゃいますよ、勿体無いです!」
「ああ、わかった。着替えるから出てろ」
「わかりました」

政宗さんが着替えると言って起き上がったから私は外に出た訳だが・・・なかなか来ない。
耳を澄ましてみると動いているような音も何も聞こえない。

すっと、襖を開けて見てみると案の定政宗さんは布団の中に潜っていた。

「政宗さん・・・?
 仕方のないひとです・・・心外ですが、小十郎さんをー」
「冗談だ、起きてる!
 俺は今起きてる!」

慌てて私の前だというのに着替えだすから、笑ってしまう。
・・・これが、素直に私の感情かどうかもわからないままに。

「・・・・・・・・・」
「どうした、暗い顔して」
「い、いえ。何もありません!」

不意に考えてしまったことが顔に出てしまったらしい。
危ない、危ない・・・。
朝から暗い顔だなんて気持ち良くないいんだから。

「私は先に行っておりますから」
「・・・ああ」





私の中ではもうすでに現代が遠かった。
幸か不幸か慣れたのか・・・
それとも、私自身が何を思ってるのかもわからないのか。

ただ、此処にいる私がいた。















  


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