第二話

「うっ・・・あれここどこ?」

意識を戻した私がいたのは見覚えの無い和室。
トラックに轢かれたのは分かる。
でも、不思議と痛みはなく夢だったんじゃないかなと思うほどだ。
それでも、今最も疑問に思ってるのがここの場所だ。何しろ、見覚えが無い。
自分の家で無ければ、兄の家でもない。トラックに轢かれたのが本当だとしたら普通は病院に運ばれるだろう、でもここは病院じゃない。
なんか昔の日本のお城みたいな雰囲気を出してる感じの和室。



「誰か知り合いの家でもないし・・・」

知人の家を全て思い出してみるが誰も思い当たらない。
一体ここはどこなんだろう・・・、改めてそう思ったとたんに2人の男性が入ってきた。

「やっと目を覚ましたか」
「Good morning.
 目覚めの気分はどうだ?」


一人は左のほうに深い傷がある強面な男性。もう一人は右目に黒い眼帯をしている男性。

「てめぇはどこのもんだ?」


はじめに声を掛けられた人にそう問われる。
どこのもんって・・・。
なんて答えたらいいのかもわからず、私はまともに返事を返すことができない。

「おい、小十郎、怖がってんじゃねぇかよ。
 もうお前は下がってろ、俺が何とかしてやる」
「政宗様っ!それでは貴方はー」
「政をさぼるって言いてぇのか?
 優先順位ってもんがあるだろうが、いいから下がってろ」


その政宗と呼ばれた人の命令に小十郎と呼ばれた人は納得のいかない顔をしながらその場を立ち去った。

「で、話を戻すがアンタどこから来た?」
「どこからって・・・気づいたらここにいたんですけどー」
「そりゃそうだ、山で倒れてたアンタを俺がここまで連れてきたからな」

・・・山?私トラックにに轢かれてー、山に言った覚えなんかない。

「じゃ、じゃあ逆に聞かせてください。ここは何処なんですか?」
「ここは奥州だ」

その言葉を聞いて私は何故か嫌な予感がした。
奥州・・・?


「昔の地名じゃ・・・」
「何言ってる?」

・・・・・・さっきこの人政宗って呼ばれてたけど。
奥州の政宗って、ねぇ?

「失礼ですが、あなたの名前はなんですか?」
「伊達政宗」

まさかの予感が的中した。
・・・いやいやいや、普通に考えてありえないから。
タイムマシンもまだ無いですから。
そうだ、これは夢だ。

きっと一人が寂しくて見ちゃった夢なんだ。
だから、もう一度寝たら元に戻る。ほら、こうやってほっぺを抓ったら・・・−

「痛いよぅ」

「アンタ何やってんだ」

こちらを見て笑われてしまった。
でも、ありえない状況だもの。

「今って天下取り合ってるんですか?」
「ああ」
「織田信長さんは生きていらっしゃいますか?」
「ああ」
「伊達政宗さんご本人でしょうか?」
「・・・当たり前だ」

最期の質問は少々怒らしてしまったため質問は切り上げた。

「どうしたらいいんでしょう、私この時代の人じゃないですよ・・・」
「は?」
「だから私はここの人間じゃないんです」
「だからちゃんと説明しろ」

伊達政宗はそう言って呆れたように溜息をついた。
だから私は今までの一連の流れをなんとか必死に説明してみた。


「で、アンタは”とらっく”っていう乗りもんに轢かれて時空を超えてきたって言いてぇのか?」
「はい」
「それが本当だとするー」
「だから本当なんですよ」
「小十郎が納得するとは思えねぇ・・・」


さっきの強面の人を思い出す。
私今日が命日かな?

「私どうすればいいんですかね?」
「未来から来たって言う証拠になるものはー皆無か」

何しろ、起きたら手ぶら。
服は着替えさせてもらったらしいし、どうしようもない。

「私どうなっちゃうんだ・・・ピンチだよ・・・」
「え?アンタさっき南蛮語を使ったか?」

南蛮語?

「どうかしました?」
「行くあてがないならここにいればいい」
「へ?」
「小十郎には俺から言ってやる、俺はアンタが気に入った」
「でもいいんですか?」
「No problem. 向こうに帰るのだって協力でもなんでもしてやる」

何故か気に入られてしまった私。
どうしようもなく、今はお言葉に甘えるしかない。

「アンタ名は?」
「真田名前と申します」
「名前、アンタは今日から俺の女だ」

そして、私の戦国時代の生活は幕を開けた。
そして、私は拾われた女として伊達家に入った。




  


×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -