05.頼りになる人
石田三成…その男が、これから先の未来の平安に鍵を握る男なのかもしれない。
だが、何も知らない私たちにとっては簡単に信用してもいいのか不安でしかない。
そんな時、我らが兄貴が頼ったのは雑賀衆三代目棟梁雑賀孫市だった。
所謂サヤカ姉様。
雑賀衆と長曾我部は長い付き合いで、私はサヤカ姉様を小さな頃から追いかけまわしている。
その追いかけには、河野の鶴姫ちゃんという女の子を共にしているけど、しばらくは会っていない。そのため、たまにサヤカ姉様に会うとき一人で追いかけまわしている。
「サヤカ姉様!!」
「千祥…と、元親か」
「本当千祥はサヤカ大好きだからな…そんで、俺の名前呼ぶときにかったるそうにすんなよな。
んで、今日は少し聞きたいことがある」
「話の前に力を示せ…そう言いたいところだが、千祥も一緒か。話も急いでいるようだし、今日のところはもういい」
お買い得気分な感じだ。
兄貴もその気分を味わっているのか、今までの一連の流れでむしゃくしゃしてはいるものの、落ち着いてきている。
「俺の国がいろいろあってな」
「話はだいたい見えている。…時に元親。
お前の知る徳川という男は、それほどまでに卑劣なのか?」
「違うっ!」
家康さんを疑ってはいるものの、信じてきたからこそ疑いきれないんだろう。
私だってそうだ。
きっと一番否定したいのは、兄貴自身。
「事実を確かめればいいだけの話だろう。疑いきれないのなら、徳川を知る者のところへ行けばいい。
同盟を結ぶ伊達政宗か、恨みを持っていることで有名な石田三成か」
「石田三成…アンタも毛利と同じ野郎を挙げるんだな。
決めた!俺は石田の野郎に会いにいくぜ!!」
二人の会話に対照的な表情。
兄貴の決心のついた晴れた顔。
サヤカ姉様の心配そうな顔。
「毛利…」
「サヤカ姉様?」
「…伊達のところに行ってくる。元親を頼むぞ、千祥」
「ありがとうございます、サヤカ姉様。
私、やっぱり家康さんがあんなことしたなんて信じられなくて。きっと兄貴もそうだと思うんです」
「そうだろうな。毛利には気をつけておけ」
「はい!」
毛利さんとは今までもこれからもいろいろと複雑な関係だろう。
だけど、今は同じ国が疲弊した身。
何を信じて、何を疑えばいいのか。
ここまでの規模の事が起これば、そのうち大きな戦が起こるのであろうことも私でさえも想像がつく。
その時命の確かな保証なんてない。
私は…まだ兄貴達と共にいられるのかな?
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どうも、孫市ねえちゃん大好きっ子です。
次回きっとやっと刑部が出てきます(`・ω・´)
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